5.ほとんどの大家がやっていない退去防止対策とは
編集部:退去防止対策は実施していますか?
プレさん:はい。長期入居してもらうために、物件の近所の居酒屋とコラボして、ボトルがタダになったり温泉チケットをプレゼントするキャンペーンをやっています。
こういうチラシを作って入居者へ配布しています。

このお店はお客さん同士が仲良くなるようなお店で、入居者の中にも結構行っている人が多く、居酒屋のオーナーにも喜んでもらえます。
ちなみにこの時は、物件の周辺にタバコの吸い殻が落ちていて、ポイ捨てを減らしたいということもありました。入居者へのポイ捨て注意喚起のついでにボトルサービス券を配布してみました。
こういったことをしている大家はあまりいませんので、入居者にとっては特別感がありますし、距離感が縮まる感じがあります。
編集部:これはおもしろいですね。たしかにこれは入居者にとっては嬉しいので入居期間が長くなる効果があるかもしれませんね。このボトル代はプレさんが負担しているのですか?
プレさん:居酒屋さんと折半です。原価で折半ですから大した金額ではありません。居酒屋さんとしてはこれをきっかけに来店が増えて、料理を食べてくれれば儲かります。私は居酒屋のオーナーさんから入居者さんの人となりなどの情報を得ることもできます。入居者にとってもうれしいことです。
編集部:「三方良し」ですね。これを配布すると、入居者の何割くらいが利用するのですか?
プレさん:半分くらいの方ですね。
編集部:それはすごい確率ですね。
プレさん:そうですね。これは結構うまく行っていると思います。この居酒屋さんは私の行きつけの店でした。たまたま近くの物件を買ったので、オーナーに提案をしてみたところ乗ってくれました。
6.不動産投資に一歩踏み出せない方へ
編集部:話が変わりますが、不動産投資を成功させるコツはありますか?
プレさん:不動産投資について最低限の知識を学ぶことはもちろんですが、あまり情報を詰め込みすぎて頭でっかちになると行動できなくなります。ですから、まず一棟買ってみる事が大事です。
とはいえ、なかなか一歩踏み出すまでには勇気が要ります。そういう意味でも、相談できたりアドバイスをしてくれる仲間を作ることがいいと思いますね。
相談すれば、「物件買った?」などという会話が生まれて、結果的に背中を押してくれることになることもあります。
7.物件選びでいちばん大事なこととは
編集部:物件を買う時には特にどんな点を重視していますか?
プレさん:出口をイメージしています。例えば築10年の物件購入を検討しているなら、同じエリアで築20年の同じような物件価格を見てみます。今この物件を買うと、10年後にどれくらいの価格で売れるのかをイメージできるようになります。
それから、物件は実際に見に行くことが大事です。ポータルサイトやチラシで見ただけでは記憶に残りませんので、見たうちに入りません。
周辺環境や物件の状態は実際に行ってみないとわからないことがたくさんあります。逆に物件の外回りを見れば大家さんがどう管理しているのかだいたいわかります。
見に行って、もしその物件の入居者さんと会ったら、「私もこの物件を借りようか検討しているのですが、住みやすいですか?」などと質問してみると住んでいる人の生の声が聞けますので有益です。
編集部:少し話が変わりますが、今は金融機関が不動産投資への融資を引き締めています。たとえばこれからゼロベースで不動産投資を始める会社員が融資を受けやすくなる方法はありますか?
プレさん:これはその人がどういうビジョンを持って、どういう物件を買おうとしていいるかによって違ってきますので一概には言えません。
金融機関によっても違いますし、支店や担当者が変われば審査結果が変わってしまうので、やってみないと何とも言えないと思います。
ひとつ具体的な例を挙げると、私の会社でも不動産投資をやったことがない人が土地を買って新築アパートを建てる契約をいただきました。
その経験でわかったのですが、利回り5%を超えると融資が出る金融機関が結構あります。ただ、立地が良くないと難しいのです。東京都内か、埼玉や千葉なら東京隣接地区や主要沿線の人気エリアでも行けます。
8.会社員投資家の効率的な行動のコツとは
編集部:不動産投資家としてどんな姿を目指していますか?
プレさん:入居者を大切にする大家です。私は住宅メーカーの営業として創意工夫してきたことを大家業にも活かしています。
営業をしていた当時は、ほとんど顧客からの紹介で新規案件を獲得していました。私から家を買ってくれた人がお知り合いを紹介してくださるのです。それは常にお客さんの立場に立って仕事をしてきたことを認めてもらえていたからだと思います。
例えば先ほど話した近くの居酒屋さんとのコラボイベントなど、入居者目線で喜んでもらえることをもっと仕掛けていきたいと思っています。すると単にビジネスライクな付き合いではなく、少し距離感が近くなって入居者の満足度も上がるのではないかと思っています。
管理会社との付き合い方も同じですが、いい人間関係が構築できると早く客付けをしてもらえるなど、懇意にしてもらえることがあるのではないかと思います。
編集部:それから、サラリーマンとして仕事をしながら不動産投資をしていると、効率よく動く必要があると思いますが、工夫していることはありますか?
プレさん:はい。効率のことはすごく考えていて、昔から効率よく仕事をすることを重視しています。ですから、残業もほとんどしたことがありません。
効率良く動くためには、先を読むことが大事だと思います。例えば、朝出勤してなんの準備もしていない状態から仕事を始めるのではなく、前日に翌日の準備をしてから帰る。
自分のデスクに移動するまでの間に自分宛てのFAXが届いていないかチェックするとか、そういうことにはすごくこだわってやっています。
時間を費やすことで一番大きいのは、想定外の出来事への対応だと思います。ですから私は、スケジュールや物事の考え方全てを先読みして動いています。楽観的に考えずに悪い方向に事が動いた時の事を想定しておく事も、何が起こっても慌てない秘訣だと考えて行動しています。
編集部:不動産投資をやってよかったことは何ですか?
プレさん:全く世界が変わりました。会社員の収入だけでは得られない家賃収入が得られて、生活が安定しました。
あとは、不動産投資をテーマにしたブログを書き続けているのですが、それを読んでくれた大家さんが連絡をくれて輪が広がっています。
編集部:最後にこれから不動産投資を始める方へアドバイスをお願いします。
プレさん:長期的なビジョンを持ってそれを中期・短期似ブレイクダウンして計画的に不動産投資を実践することをおすすめします。
ありがとうございました。
「プレジデント168」さんプロフィール
1977年生まれ。
駒沢大学卒業後大手住宅メーカーに入社、新築戸建住宅営業を経て営業部長を務める。
営業スタッフから管理職へ登用され歩合給が支給されなくなり収入が激減。減った収入を補填するため不動産投資に参入。
7年で埼玉県、千葉県、栃木県内に貸家3棟、アパート5棟を所有し家賃収入2200万、税引前キャッシュフロー1,000万円まで拡大。
入居者が住みやすい住環境の提供を信条としている。物件付近の飲食店とのコラボでボトル無料キャンペーンなどユニークなイベントの開催や、管理会社とタッグを組み入居待ちが出るほど集客力が高い物件紹介サイトを作るなど独自の視点で物件運営を行っている。