FP大家が語る「年金+月50万円」を目指す失敗しない1Rマンション投資法【前編】

不動産投資家実践ストーリー Vol.20 
ファイナンシャルプランナー・経営コンサルタント・不動産投資家
齋藤岳志さん

今回の不動産投資家実践ストーリーは、首都圏の中古ワンルームを中心に、手堅い不動産投資を実践している齋藤岳志さんです。
齋藤さんは上智大学を卒業後、百貨店や税理士事務所、経営コンサルティング会社勤務を経てファイナンシャルプランナー・経営コンサルタントとして独立。
ファイナンシャルプランナーの資格を取得した2004年に株式投資を始め、信用取引や商品先物取引、投資信託やFXなどの投資を経験しましたが、損失が拡大し退場。その後自分の性格や考え方に一番合った大家業を2007年にスタートしました。
今回は、FP・経営コンサルタントの視点から、副業としてのワンルームマンション投資で、ゆとりある老後の生活資金を得るための方法についてお話を伺いました。

1,不動産投資のきっかけは株やFXでの失敗

編集部:齋藤さん、今日はよろしくおねがいします。まず、不動産投資のご経歴を簡単に教えていただけますか?

齋藤さん:はい。私が不動産投資を始めたのは2007年で、今年で12年になります。物件はワンルーム、1K、1LDKで20~30㎡の物件を中心に10室保有しています。

編集部:ありがとうございます。単身向け物件を中心に所有されているのですね。不動産投資に参入されたきっかけを教えていただけますか?

齋藤さん:FPの資格を取って、不動産・保険・税金・相続など幅広い金融商品の知識を学び始めたことがきっかけです。様々な知識を学ぶと、自分もそれを実践したくなりました。

それまでは「銀行預金」だけでしたが、最初に「株式投資」をはじめました。当初は「株主優待と配当」が目的でしたが、徐々に株価が上がり始めると、さらに利益を求めるようになりました。短期的な値動きに一喜一憂するギャンブラーのようになっていたのです。

気がつけば、より投機性が高い、信用取引、商品先物取引、FXなどに手を出していました。
仕事をしながらだと相場を四六時中チェックできず損失が拡大してしまいました。それで精神的にも追い込まれ、2年で退場したのです。

この体験で「相場の動きに一喜一憂せず、安定した気持ちで取り組める資産運用はないのか」と考えるようになりました。そこで、J-REIT(不動産投資信託)をはじめたのですが、これは精神的に追い詰められることはなく、よいものでした。そして、そのうちに「これは家賃を得ることの疑似体験だ」と感じました。そして、様々な関連書籍を読み、セミナーに参加し、少しずつ不動産投資や大家業について理解を深めていきました。

また、不動産業者の営業担当者と個別に話す機会にも恵まれ、多くの気付きが得られました。さらに当時勤めていた税理士事務所で、不動産収入だけで生活をしている方の資産管理法人の確定申告を担当し、大家業の実際を目の当たりにし、そういう方々から影響を受けたこともあります。

2,自分もこんな人柄になりたい

編集部:税理士事務所でクライアントの資産管理法人の実際を目の当たりにしたということが大きかったということですが、特にどういう点に影響を受けましたか?

齋藤さん:はい。税理士事務所で担当させていただいた大家さんたちの人柄です。みなさん大らかでゆったりされているように感じました。それはおそらく経済的に余裕があるから精神的にもゆとりがあるのではないかと感じました。そういう方々の姿を見て、「自分もそうなりたい」と思うようになりました。

資産管理法人の申告業務をお手伝いしていましたので、不動産投資の全体像を知ることができ、自分が実践するとしたらどうすればいいのかをイメージすることができたこともありました。

編集部:ありがとうございます。区分マンションに特化した理由はどういったことでしたか?

齋藤さん:はい。当時税理士事務所に転職したばかりで、融資を受けにくかったこともあり、少額の自己資金で始められる区分マンションを選びました。
区分マンションの場合は、共用部分の管理、賃貸管理も含めていい意味で専門家にアウトソースする仕組みがあります。ですから、株やFXのように常に値動きを気にする必要もありません。何より本業に集中できることがいいと感じましたので、区分マンションに特化しています

3,「2ヶ月以上空室なし」の物件選び

編集部:物件購入前には不安があったのではないかと思いますが、斎藤さんはどんなことが不安でしたか?

齋藤さん:一番の不安は、空室リスクでした。区分マンションの場合は、0か100かどちらかですから「空室が続いて、家賃が入ってこなかったらどうしよう」ということが心配でした。

編集部:その不安はどのようにして払拭しましたか?

勉強していく中で、空室リスクは立地を選ぶことで、ある程度回避できることがわかりました

私の場合は、東京23区内と横浜市・川崎市内で、ターミナル駅(複数の路線が乗り入れている駅)まで15分程度で乗り換え無しで出られる場所に絞っています。そういう場所で、女性に選んでもらいやすい物件という視点を大切にしています

利回りは最優先ではなく、同じエリアで利回り8%と6%の物件があったとしたら、6%でも立地がいい方を選びます。

そういう立地で複数戸所有できれば更にリスクを下げることができます。私の場合はまず3戸を目指しました。

その方法で10年やっていますが、いままで2ヶ月以上空室が続いた部屋はありません。もちろん立地だけでなく、管理会社さんの客付け力が強いからということもあります。

編集部:ありがとうございます。客付け力が強い管理会社はどのようにして見つけるのですか?

齋藤さん:管理会社のWebサイトなどで確認するといいと思います。そして管理会社のビジョン・ミッションに共感できる会社を選ぶと良いと思います。私の場合はこの管理会社に物件の管理をお願いしたいと思える管理会社に巡り合うことができました。

管理会社の客付け力が強いことも重要なのですが、管理会社が客付けしやすい物件であることはもっと重要です。ですから、物件を買う前に、「この物件を購入しようと思っていますが、賃貸管理を引き受けてもらえますか?」と質問します。そして、「大丈夫です」という回答があれば購入するようにしています

編集部:ありがとうございます。それから、「将来的に家賃が下がったらどうしよう」という不安をお持ちの方も多いのではないかと思いますがいかがでしょう?

齋藤さん:そうですね。これは東京23区の例ですが、新築時の家賃を100とした場合に、築年数の経過に伴って、賃料がどれくらい下がったかを示すデータがあります。シングル向けワンルームのデータを見ると、築10年前後でおよそ10%下落し、築20年で約80%になります。その後はほぼ横ばいで推移するのです。

私は築20年から25年の物件を多く選んで購入していますが、実際に前の家賃と同額で次の入居者さんが決まっています。中には交渉が入って1,000円から3,000円家賃を下げたことがありますが、リフォームをしたときは反対に3,000円アップしてもすぐに入居者が決まったこともありました

編集部:なるほど。そういう意味でも立地が重要ということですね。それから、ローンで購入した場合に、将来金利が上がるというリスクもあると思いますがいかがですか?

齋藤さん:そうですね。今は(2019年7月)低金利で、「アパートローン」や「プロパーローン」でも金利1%後半から2%台で貸してくれる金融機関があります。ですから、将来金利が上る可能性は0ではありません。

そのリスクには、繰り上げ返済や家賃収入をすべて返済に回すことで元金を減らせばヘッジすることができます

私はクライアントさんに、できれば物件価格の20~30%の頭金を入れて購入することをお勧めしています。そして返済比率を下げれば、ある程度の金利上昇には耐えることができます

4,融資を受けやすい買い方

編集部:融資に関しては、2018年ごろから金融機関が会社員の不動産投資に対しての融資を引き締めていると言われていますが、実際どういう状況でしょうか?

齋藤さん:これは、金融機関によって違いますし、どこから購入するのかで全く異なります。
区分マンションの場合は、金融機関との提携ローンがある業者の中には積極的に取り組んでいるところもあります

例えばオリックス銀行やソニー銀行との提携ローンを用意している業者では、積極的に融資をしているところがあります。
会社員で年収500万円以上、勤続3年以上の方にとっては、それほど厳しくなっているような印象はありません。

編集部:ということは、金融機関との提携ローンがある業者から購入すると買いやすいということですか?

齋藤さん:そうですね。買いやすいと思います。金融機関は、どんな業者とも提携するわけではありませんので、提携ローンがあるということは、その業者の信頼性も高いということになります

物件についても、銀行評価が出て不動産業者のお墨付きもある物件が提示されるわけですからいい物件である確率が高いわけです。……後編へ

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