「孫子の兵法」で自己資金200万円を6年で1億円にした 「孫子大家流 不動産投資術」とは【後編】

不動産投資家実践ストーリー #1> 孫子大家さん

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4,忙しい人の効率的な不動産投資の学び方

 
編集部:そうなんですね。私も思い当たりますが、特に経済的・精神的に余裕が無いと、焦ってしまいますからね。すると、思考が固くなっていいアイディアが出なくなります。そしてパフォーマンスが落ちるという悪循環に入ってしまいますよね。経済的・精神的に余裕を持つ。これもいい仕事をするためにとても重要なことかもしれませんね。
 
ところで、「戦略が重要」ということですが、これから不動産投資を始めようという方は、まず戦略の立て方を学ぶ必要があると思います。でも、会社員の方、特に不動産投資に関心がある層の方々で、ポジションが上の方ほど忙しいと思います。なので勉強する時間を取りにくいという方も多いと思いますが、そういう方々が効率的に不動産投資戦略を学ぶにはどうしたらよいとお考えでしょうか?
 
孫子大家さん:はい。戦略を効率よく学ぶには、信頼できるパートナーを見つけることが近道です。具体的には、不動産投資をすでに行っていて成功している人がどのように実践しているか。それを聞くことが一番いい方法だと思います。知り合いにそういう人がいれば、教えてもらうとか。
 
そういうひとがいなければ、まずは、無料の「大家の会」などへ行ってみるといいと思います。そういうところで知り合ったひとで、自分がやりたいことと似たことを実践して成功しているひとに質問するというのもいいと思います。
 
ただ気をつけておかないといけないことは、無料で得られる情報は、それなりのものでしかないということです。無料なので、話す方には何の責任もありません。また悪いケースですと、無料でお客さんを集めて、何千万もする買うべきでない不動産を売られてしまったりします。やはりそのまま鵜呑みにしないほうがいいですね。あくまでも自己責任というスタンスでいることが重要です。
 
有料で会員になれる大家の会もたくさんあります。自分の目的にあいそうなところ、自分と相性が良さそうなひとがいるところを探して入ってみるのもいいかもしれません。不動産投資のセミナーや講座が開催されていたり、コンサルを受けられるところもありますので、無料の大家の会より確実に学ぶことができます。
 
あと気をつけることは、不動産業者が主催している無料の大家向けのセミナーは、ほとんど物件を売ることが目的で、偏った内容が多いので注意が必要です。
 
それから、主催者と1対1でしかやり取りできない場合は、第三者の意見がシャットアウトされるので、間違った情報が入ってきてしまう恐れがあります。ですから、できるだけ他の会員さんも含めオープンな場所でやりとりができるようになっているところがいいかもしれません。何しろきちんとお金を払って教えてもらうというのが近道です
 
 

5,年収・自己資金別、月間キャッシュフロー50万円を実現する方法

 
編集部:ありがとうございます。すでに不動産投資を実践しているひとから教えてもらう。無料のものはそれなりの内容でしかないなのでお金を払って学ぶことが近道ということですね。 
それでは、これから不動産投資をはじめたいひとの年収や自己資金別に、具体的にどのように不動産投資をすればよいと考えていらっしゃるかをお聞かせいただきたいと思います。
 
30代〜40代くらいの会社員や医師、弁護士などの方が、月間キャッシュフロー50万円を得るためにどのような方法がよいとお考えでしょうか?
 
まず年収700万円まで、自己資金500万円までの方はどうするとよいでしょうか?
 
孫子大家さん:まず前提として、最近金融機関の融資審査基準が大きく変化しています。以前は、融資申し込み者の年収、つまりそのひとが「この先いくら稼ぐのか」という要素が審査基準としてあったのですが、今は年収はあまり関係がなくなっています
 
某銀行やシェアハウス業者などの不正融資問題以降、金融庁の指導で融資審査基準として、以前ほど年収が重視されなくなっています。逆にその方の現在すでに持っている純資産の価値と購入物件の担保価値が重視されるようになっています。しかし担保価値に対する融資額の割合は下がる傾向にあります。「最近融資が厳しくなっている」というのはそういう理由です。
 
ですからもっとも重要なのは、自己資金がどれだけあるかということです
あとは、いきなり年間キャッシュフロー50万円を得るという考え方ではなく、マイルストーンを置いて考えることがだいじです。
 
なぜなら、不動産投資は、物件購入価格の3%くらいキャッシュフローが出ればいいほうです。
 
月間50万円のキャッシュフローということは年間600万円になるわけですよね。ですから、2億円の物件を持っていないといけないわけです。2億円の物件を購入するには、3,000万円くらい自己資金がないといけません
 
それは普通の会社員にとってあまり現実的とは言えません。その半分の年間300万円のキャッシュフローを得るなら、まず自己資金1,500万円を用意して、1億円の物件購入を目指すなどマイルストーンを置いて、それをクリアできたら次のステージへ進む考え方がいいですね。
 
不動産投資ももちろんそうですが、資産づくりは時間を味方につける事が大事です。ですからできるだけ若いうちに始めたほうがいいですね。
 
それを踏まえて、年収700万円、自己資金500万円までだと、築古戸建てを購入し再生するのがよいと思います

一番おすすめなのは、購入時はボロで本来の価値よりも安く買える物件を見つけて、修繕後利回りで15~20%を超えるような物件を購入して、数年間で2~5棟くらいまで増やしていったんすべて売却、その現金を使ってアパートやマンションを取得することです。

35歳以下もしくは、女性の方であれば、国民政策金融公庫から融資を受けられる可能性があります。それを利用して物件を購入し、家賃収入により属性を上げ、物件を売却し自己資金を増やし次の物件に投資するという戦略がいいと思います。
 
編集部:ありがとうございます。次に年収1,000万円以上で、自己資金500万円くらいまでの方はどういった戦略がよいでしょうか?
 
孫子大家さん:年収1,000万円を超えると使える銀行が増えてきます。しかし、すぐに物件購入するよりは、年収を増やすことと自己資金を増やすことに注力したほうがいいかもしれません
 
年収を増やす方法としては、今より好待遇の会社に転職する方法があります。私の本業である転職コンサルのクライアントさんの中には、転職で20%くらい年収がアップするひとも多くいますので、年収1,000万クラスの方であれば可能性は十分あります。
 
また、これくらい年収があれば、今自己資金が500万円ある人ならそれを1,000万円にするのはそれほど難しくないと思います。ですから、まず短期間で自己資金を1,000万円に増やす。
 
その間は、ベテラン大家から不動産投資を学び、関係性を深めていく時期と考え、とにかく自己資金を増やすことをおすすめします。なぜなら、自己資金が多ければ多いほど有利に融資を受けられるからです。
 
編集部:ありがとうございます。とにかく自己資金を多く用意することが重要ということですね。それでは次に、年収700万円まで、自己資金1,000万円くらいのひとはどういった方法がよいでしょうか?
 
孫子大家さん:はい。自己資金が1,000万円〜1,500万円くらいになると、かなり選択肢が広がってきます。私なら地銀や信金の融資を使って、高利回りの築古アパートを購入します。地方なら利回り13〜15%以上、都内やファミリー物件なら利回り10%以上のものを選びます
 
編集部:最後に、年収1,000万円以上、自己資金も1,000万円以上ある人はいかがでしょう?
 
孫子大家さん:そういう方はもうその時点で勝ち組です。地銀・新規だけでなく、都市銀行も使える可能性があります。どんどん拡大していいと思います。ただ、選択肢が広がる分物件選定を慎重に行う必要があります。
 
たとえばリスクを取らずに普通に満室物件を購入することは、機会損失をしているとも言えます。なぜなら、満室物件は融資が出やすいので、購入希望者が多いので価格が高くなり投資の観点からはあまり面白くない物件です。
 
しかし、稀に満室で相場より大幅に安い物件を見つけられることがあります。そういう情報を得られる仕組みづくりが重要になります
 

6,孫子大家流 不動産投資成功の極意

 
編集部:ありがとうございます。では最後に、これから不動産投資を始める方へアドバイスをお願いします。
 
孫子大家さん:まず、「焦らない」ということですね。例えばわたしの場合はさきほど言ったように、最初の物件を買う前は、「物件ほしい病」(とにかく物件が欲しくて冷静な判断ができなくなる状態)にかかっていました。不動産投資の目的は、「物件を購入すること」ではなく、「購入した物件で収益を得ること」です
 
焦って物件を探していると、過去の私のように、不動産業者にそれを見透かされて、おかしな物件を勧められ、言われるがまま購入してしまうこともあります。ですから、必ず目的を達成できる物件と巡り合うことができると信じて、じっくり探しましょう
 
そのためには、「どういう条件の物件を購入する」のかその基準を明確にして、常にそれを意識しておけば、実際にそういう物件が目の前に現れたとき素早く購入の判断ができます
 
あとは、自分が目指す投資スタイル以外の情報もインプットしておくことがだいじです。たとえば、築古物件購入を目指しているなら、新築の事も知っておく。シェアハウス運営はまったく考えていなくても、シェアハウス運営の本を読んで勉強しておくといいです。
 
なぜなら、自分がやりたいことの知識だけに偏ると、それだけがいいことだというバイアスがかかり、事実を自分の都合がいいように曲げて解釈してしまう恐れがあるからです
 
あとは、これは不動産投資家として一定のレベルに達したときのことですが、特に拡大期にあって、融資を受けるときは、喜んで税金を払うこと。それから、金利交渉はしないほうがいいですね。「不動産投資の戦略」=「融資を受ける戦略」と言ってもいいほど、有利に融資を受けることが重要です。
 
融資を受けるには儲かっていないといけません。儲かっているということは税金もたくさん払っているということです。銀行が融資したいひとというのはそういうひとですから、喜んで納税をしなければいけません。また、融資を受けるときに金利交渉はしないことがだいじです。銀行の立場になってみればわかりますが、金利交渉をしてくるひととしないひと、どちらにお金を貸したいでしょうか。それを考えれば明らかですよね。逆に返済期間を伸ばす交渉は、ありかもしれません。ながければ長いほど銀行は金利を受け取ることができるので、相談に乗ってくれる場合もあります。
 
それから、不動産投資で節税は考えないことです。節税を考えていいのは、あと4〜5年で仕事を辞める人だけです。
収益を得るために不動産投資をするわけですから、本来はより儲かってしまいます。儲かってしまうのですから、税金を払うのはあたりまえです。逆に税金を払わなくていい物件というのは、儲からない物件です。そういう物件を買う意味があるのかどうかを考えてほしいと思います。
 

ありがとうございました。
 
トータル17棟約100戸を保有し、年間家賃収入約6,500万円という実績を持っているだけに、わかりやすく説得力があるお話を聞けました。
 
インタビューの中で触れた、孫子大家さんが主催する「軍師大家の会」では随時会員を募集しているそうです。孫子大家さんが実際に面談して集めた、様々な投資法のスペシャリストが講師を務める、業界最強クラスの不動産コミュニティということです。ご興味ある方はぜひお問い合わせをされてはいかがでしょうか。

インタビュー実施2019年3月
 「軍師大家の会」

孫子大家さんの著書
『サラリーマンが副業で 最短で年収を超える不動産投資法』

孫子大家さんのブログ

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