5,入居者目線」が成功のカギ
編集部:ありがとうございます。賃貸住宅経営というビジネスを実践する際に注意しておくべきことはどんなことがありますか?
小峰さん:入居者目線で考えるということです。たとえば、自分の好みで物件の内装や外装を実施すると失敗することがあります。
具体的には物件の内装をリフォームする際に、自分好みの部屋にしてしまい、それが物件の特性とミスマッチだと入居者がつきにくいことがあります。
単身世帯男性向けの物件なのに、女性が好みそうな内装にしてしまうなどです。こういうことは結構ありますので注意が必要です。
また、10㎡前後の狭小物件を買う場合、駅近なら「寝るだけのために使う」という忙しいサラリーマンのニーズがありますが、駅から離れれば離れるほどニーズは減ります。
物件特性とエリア特性のマッチングやリフォームは自分の感性ではなく、入居者の目線でやることが重要です。
6,これを押さえれば失敗しない
それから、いちばん重要なことは、インカムゲインとキャピタルゲインが取れることです。毎月の家賃収入からキャッシュフローがなければいけませんし、売却益が取れなければいけません。それさえ守っていればそんなに大きな失敗をすることはありません。
よくある失敗は、ワンルームマンション投資で、毎月5,000円や10,000円の持ち出しで、30年後にローンを完済した後、年金として収入が得られるとか、節税になるなどという話を鵜呑みにして物件を買ってしまうことだと思います。それは大家になっているつもりで被害者になっているということではないかと思います。
7,不動産投資で人生が充実
編集部:小峰さんご自身が、不動産投資を始めてどういった変化がありましたか?
小峰さん:私はサラリーマン時代、システム関連の部署でセキュリティ管理を担当していましたが、マンネリ化して仕事そのものが好きではありませんでした。会社としてはとてもいい会社なのですが、与えられた仕事をこなしているだけで仕事に対するやりがいのようなものはありませんでした。
不動産投資を始めてからは好きな仕事ができている実感があり、やりがいを感じます。また、セミナー講師として不動産投資を教える立場も経験でき、自信も深まりました。収入はもちろん増えましたし、リタイア後は通勤もありませんし、仕事は選べますからストレスはかなり少なくなりました。
不動産投資をやったことで、他の大家さんと知り合うことができ、飛躍的に知識が増えて成長し、本を出版することができたことも大きな成果だと思います。
そこから派生して、不動産投資セミナー講師として活動することができました。サラリーマン時代には考えられなかったことがあります。
もし、不動産投資を始めずに、サラリーマンを定年退職していたら何が残っていたかというと、何も残っていなかったと思います。ただ孤独になっていただけかもしれません。
私の親もそうでしたが、60歳で定年退職し、その後は特に楽しみもなく張り合いがなさそうに見えました。そして80歳くらいの時に亡くなりました。私はそういう老後に寂しさを感じていました。
私は不動産投資を始めたことで、充実した生活ができていますので、不動産投資を初めて本当にやってよかったと思っています。
8,今後は海外不動産投資へ注力
編集部:最後にこれから目指していることを教えて下さい。
小峰さん:2年前にサラリーマンを定年退職して、これまで自分の属性で受けられていた融資が受けられなくなっています。ですから、積極的に拡大するというより、自分の法人の決算書を良くしていくことが課題です。
今はフィリピンの不動産デベロッパーのエージェントになって、日本人にフィリピンの不動産投資セミナーを開催するという活動を中心に行っています。これからもっと注力していきたいと考えています。
今は月の半分以上フィリピンにいますので、フィリピンで不動産以外のビジネスに取り組んでいくことも考えています。
ありがとうございました。
小峰悟さんのお話から感じたことは、50歳を過ぎてから老後の生活資金の準備をしてもまったく遅くないということです。特に上場企業に勤務している会社員や、公務員、医師などいわゆる「高属性」の方にとっては、50歳を過ぎてから不動産投資で老後の生活資金を得る仕組みを作る事ができる可能性が高いと思います。人生100年時代、さらに充実した定年後の生活を実現するために、参考になるお話でした。
これから不動産投資について勉強してみたいという方は、小峰さんの著書『[図解]知識ゼロからはじめる不動産投資の入門書』を読んでみてはいかがでしょうか。
小峰 悟(こみねさとる)
1957年生まれ 東京都多摩市在住
株式会社ハロハロ代表取締役
大学卒業後、外資系自動車用品メーカーのボッシュ株式会社に勤務。そこで長年にわたり、さまざまな情報システム関連のプロジェクトに携わる。一方社内のファシリテーターとしてCIP(Continuous Improvement Process)活動にも携わり、リーダーシップ・問題解決・従業員のモチベーション向上など、さまざまなコミュニケーション問題に取り組んだ実績を持つ。また特技は社交ダンスで、数々の競技会で優勝経験を持ち、ラテン部門でアマチュアA級を取得。
人生の転機は52歳の時。給与のほとんどを遊びや趣味に費やし、預金ゼロ、多額の住宅ローンを抱え、まるで「アリとキリギリス」のキリギリスのような自分に気づく。それを機に、20年以上続けた社交ダンスを中断。同時にサラリーマンでも時間をかけずに副収入が得られる不動産投資に興味を持つ。その後、独学で不動産の勉強を始め、その年に宅地建物取引士の資格を取得するとともに、都内に新築アパートを購入し、サラリーマン大家としてのスタートを切る。
現在は、会社を定年退職し、不動産投資により定年退職後も生活に困らない経済的自由を実現。現在は、コミュニケーション力を武器に、若者から定年退職を間近に控えたシニア層を対象に、不動産投資の魅力を分かりやすく伝えている。