不動産投資家実践ストーリー Vol.22小峰悟さん〉
今回の不動産投資家実践ストーリーは、52歳で貯金ゼロの状況から10年で年間1,200万円のキャッシュフローを得るまでに拡大された小峰悟さんです。小峰さんは大手自動車部品メーカーに勤務しながら、52歳だった2009年に不動産投資に参入。現在は7棟40室の物件を保有し年間約1,200万円のキャッシュフローを出すまでに拡大。
定年退職後、収入も自由な時間も増え、精神的なストレスもほとんどなく、サラリーマン時代とは比べ物にならないほど充実した人生を送っているそうです。
会社員として長年働き、50歳を過ぎると退職金や定年後受け取ることができる年金額に不安を抱えている方が多いのではないでしょうか。
「このまま会社員を続けていても明るい未来を描くことができない」という50歳前後の方の定年後に向けた資産形成の参考になるお話をお聞かせいただきました。
1,52歳で貯金ゼロ!将来への不安が行動に駆り立てた
編集部:小峰さん、今日はよろしくおねがいします。早速ですが、以前外資系の自動車用品メーカーにお勤めで、52歳位の時に不動産投資に参入されたということですが、きっかけを教えていただけますか??
小峰さん:はい。会社員として長年勤務して50歳を過ぎてくると、60歳の定年までの道筋がだいたい見えてきます。65歳までの延長雇用制度もあり、それを選択する道もありますが、自分の立場を考えるとこのまま会社員を続けてもあまり明るい未来を描くことができませんでした。将来受け取れる年金額が減ることも予測されますし、そもそも年金だけでゆとりある生活ができないことは明らかです。
ですから、60歳までにサラリーマンを辞めようと決意しました。しかし、60歳で年金は支給されません。厚生年金は63歳から、国民年金は65歳から支給開始なので、満額出るのが65歳からです。ですから他に何か収入を作って、会社員を卒業しようと考えました。
編集部:ありがとうございます。年金問題に不安を抱えている人は多いですよね。生命保険文化センターが2016年に行った調査によれば、85.7%の人が「老後の生活に不安がある」と回答しているそうで、不安を抱く内容は「公的年金だけでは不十分」が80%というデータが裏付けていますね。小峰さんはその時点である程度将来への備えで貯金などをしていたのですか?
小峰さん:いいえ。私はサラリーマン時代お金に無頓着で、給料は入ってきただけ使ってしまっていました。社交ダンスをやっていたので結構お金がかかっていたのです。貯金もなくまったく老後の備えをしていなかったのでとても不安になりました。
年金支給はどんどん後ろ倒しされ、仕事がなければアルバイトなどで生活費を稼がなければいけません。人とのつながりもなくなり、活動範囲も狭く孤独になっていくのではないかと。これはなんとかしなければならないと思うようになりました。
2,株・FXの失敗が不動産投資へ導く
編集部:なるほど。それで不動産投資をお始めになったのですか?
小峰さん:いいえ。最初は株やFXをやってみました。それほど多額をつぎ込んだわけではありませんが、うまくいきませんでした。株やFXは常に値動きを見ていないと不安になってしまいますので、仕事中も気になってしまいます。ですから、これはサラリーマンには向かないと思い撤退しました。
そんな時ある本を読んでいて、不動産投資というものを知りました。やることは、物件を吟味して休みの日に見に行ってシミュレーションして、よければ買って入居者がつけばほとんどやることがない。これはサラリーマンに向いているのではないかと思いました。
編集部:ありがとうございます。それで不動産投資に参入されたのですね。ところで、不動産投資を始めるにあたり勉強のため宅建を取ったということですが、かなり勉強されたのですね。
小峰さん:はい。不動産取引に必要な資格ですが、不動産投資の勉強にもなるのではないかと思い受験しました。私は大学の法学部で法律を学んでいたのであまり抵抗ありませんでした。3ヶ月位DVDの教材を使った勉強で運良く一発合格することができました。それも不動産投資へのモチベーションになりました。
編集部:お仕事をしながら3ヶ月の勉強で宅建試験に一発合格というのはなかなかすごいことだと思います。それほど不動産投資への熱意が強かったということなのでしょうね。
ところで最初に購入した物件は新築アパートということですが、新築を買った理由はどういったことでしょうか?
3,新築アパート投資はサラリーマン向き
小峰さん:これはたまたまなのですが、ある物件の問い合わせをした業者さんがいくつか紹介してくれた物件の中の1つです。新宿区の下落合にある6,500万円のアパートでした。頭金と手数料で400万円くらい払って残りは融資を申し込みました。審査が通るかどうか心配でしたが、無事融資を受けることができました。利回り9.3%で回っています。今だったらあの場所の物件はなかなか買えませんのでラッキーでした。
編集部:新宿区内の新築で利回り9.3%というのはすごいですね。それは建売りの物件ですか、あるいは土地からプロデュースされたのですか?
小峰さん:この物件は建売りです。今持っている物件7棟のうち3棟は新築です。うち1棟は土地からやりましたが、その土地は相続した土地ですから、買ったのは上物だけです。
新築の良さは入居者が付きやすいことと、中古と比べてメンテナンスの手間と費用が少ないことです。
サラリーマンは日中仕事をしていて物件管理にあまり時間をかけられません。新築は入居者も付きやすいし8年〜10年くらいはほとんど修繕が発生しませんので、管理が楽です。私は新築で利回り8%、中古で利回り10%どちらを選ぶかと言ったら、新築を選びます。
また、新築は出口が取りやすいです。築10年くらいであればキャピタルゲインを得られる可能性が高いところも新築のよさです。
編集部:土地から仕入れて、アパートを建築すると利回りが上がるのでそういう方法で物件を作っている方もいらっしゃいますが、小峰さんもそういう方法を考えましたか?
小峰さん:土地から買って、アパートを建てると確かに利回りは高くなりますが、その分リスクが高くなります。土地を購入した後、建築プランを作って建築が開始されます。それだけ稼働まで時間が必要ですから、資金的余裕が必要です。また、依頼した建築会社が倒産して工事が止まるような事態になってしまったという人もいます。ですから与信調査をしっかりやっておかなければいけません。私の場合は多少利回りが下がってもそのリスクを取りたくなかったのです。
土地から買って高利回りで運用する方法が書かれた本を読んだ程度の勉強で実際にやってしまう人がいますが、それは危険だと思います。
土地から買って新築することは、想定外のことが色々起こりますので、一度やったことがある人のアドバイスを受けて実践することをお勧めします。
4,不動産投資成功に重要な3つのこと
編集部:なるほど。すでに経験して成功している方からのアドバイスを受けることは重要ですね。そういう意味でもこれから不動産投資を始める方の参考としてお聞きしたいのですが、不動産投資を成功させるために重要なことはどんなことだとお考えですか?
小峰さん:ひとつは積極性です。物件選びやファイナンス、管理を業者に任せきりにせず、自分で考えて行うことです。そのためには、不動産投資が好きでなければ積極的に取組むことができません。ですから、「不動産投資が好きである」ということが重要だと思います。
もう1つは行動することです。不動産投資をしたいと言いつつ勉強だけしてなかなか行動に踏み出せない人がいます。勉強して知識が増えれば増えるほど、リスクが目につくようになり行動に踏み出せなくなっているのではないかと思います。しかし、不動産投資も「投資」ですからリスクが0になることは絶対にありません。ある程度勉強したら、取れるリスクの範囲を決めて実践してみることをお勧めします。それが一番勉強になると思います。
また、不動産投資は「投資」ではなく、賃貸住宅経営というビジネスです。経営者目線で実践することが重要だと思います。……後編へ