〈不動産投資家実践ストーリー Vol.25
サラリーマン不動産投資家 木下純平〉
今回の不動産投資家実践ストーリーは、金融機関に25年勤務するサラリーマンのかたわら、都内中古区分マンション投資や株、債券、投資信託、仮想通貨などさまざまな投資を行っている木下純平さんです。
2016年から不動産投資を開始した木下さんは、東京都内に中古区分ワンルームマンションを10戸所有。投資額約1億8,000万円・家賃収入1,000万円の実績をお持ちです。また、フィリピンのプレビルド物件への投資も行っています。
木下さんに、不動産投資で成功する方法についてたっぷりお聞きしました。
1.不動産投資のきっかけは、老後の生活に対する不安
編集部:今日はよろしくおねがいします。木下さんは現在計11戸の物件をお持ちですが、不動産投資を始めた当初から「いつまでに何戸持ち、いくら収入を得たい」という具体的な目標はあったのでしょうか?
木下さん:「いつまでにいくらほしい」という目標はありませんでした。私が投資を始めるきっかけは「老後の不安を軽減したい」というものだったんです。「定年退職したあと、どうしよう」という……。年金はアテにできませんから、生活費などを除いたお金が50万円くらいあればいいな、プラス年金があればラッキーだな、くらいに考えて。「65歳からそういう収入が得られるように今から投資を始めておきたい」と思ったのがきっかけです。
編集部:実際、不動産投資を始めてみていかがですか?
木下さん:長期的な視点で進めています。月々赤字にはなっていませんが、利益としてはまだ微々たるもの。しかし「将来に対する備えを、今からやっているんだ」という安心感はあります。これは投資を始めてから分かった感覚です。不動産投資をスタートして3年半経ちましたけど、「金融商品のみならず不動産など幅広く分散投資ができた。」という安心感、気持ちのゆとりは想像以上に大きい。逆に「今不動産を持っていなかったらどうなっていたんだろう」と思うとぞっとしますね。今48歳で、サラリーマンをあと何年できるかと考えたら、自動的に収入が入ってくる仕組みを持っている安心感はやはり大きいです。
2.不動産投資を成功させる秘訣は「自己分析」
編集部:現在お持ちの物件は、全部区分ワンルームマンションですよね。
木下さん:そうです。一口に不動産投資といってもさまざまなやり方があるので、「これはやみくもに始めたらいけない」と思いましたね。自分のブログでもよく書いていますが、いろんなことを勉強したり始めたりする前に、まずは「自己分析」だと思っているんです。
編集部:自己分析ですか。
木下さん:「自分がどうしたいのか」「どうありたいのか」「いつまでにいくら欲しいのか」とか、そういう目的や時期などですね。自分をきちんと分析してから、次に何をするか考える。
不動産は多種多様です。自分の目的と異なる出口の投資を始めてしまうとよくない。同じ投資でも、ある人にとっては成功なのに、他の人にとっては失敗だった、ということになってしまう。成功するか失敗するかの鍵は、結局自分にあると思うんです。
私の場合、目標は「早くサラリーマンを卒業してハワイに移住したい」ではありません。サラリーマンの安定した収入は手放したくない。だから、一日の大半の時間を会社員として費やすことになる。そういうタイプの人間が手間をかけずに不動産投資をする方法を、都心中古区分ワンルームマンションに見出したのです。「できるだけ手間も時間もかけず、堅い不動産投資をする」というのが私のモットー。「早く脱サラして一攫千金を狙いたい」という人には、この方法は向いていないでしょうね。でも私は、基本的にサラリーマンを一生懸命やる。それでいこうと思っています。
3.手間の少ないワンルーム区分マンション投資はサラリーマン向き
編集部:「サラリーマンにとって、区分ワンルームマンションは手間も時間もかけなくて済むのがいい」というお話が先ほど出ましたが、木下さんは都心の中古マンションに絞っていらっしゃいますね。
木下さん:そうですね。利回りは地方の物件のほうがいいと聞きますけど、私は素人ですし、手間をかけなくても人が集まってくるエリアの方が自分の目標と合っているのではないかと思いまして。
築古物件に投資をしている友人の話を聞くと、週末は未納家賃の取り立てをしたり修繕をしたりして時間を取られてしまっているんですね。利回りがいいといっても、自分の時間を切り売りしてしまっている。そのように手間をかけることが好きな人なら向いているのでしょうけれど、私はブログやカメラなど他にやりたいこともあります。都心の中古区分ワンルームマンションであれば、そのような手間や時間がかかってしまう心配はありません。
編集部:お持ちの物件は、都内のどのあたりでしょうか?
木下さん:ほとんどがJR山手線の駅から徒歩圏内か、山手線の内側ですね。割高で儲からないということで、不動産投資のベテランはまず選ばないエリアだと思います。でも、全く儲からないわけではない。不動産投資素人のサラリーマンは、そういう物件のほうが向いているんじゃないかと思います。
4.サラリーマンとしての属性をフル活用せよ
編集部:木下さんは、不動産投資のほかにさまざまな投資をなさっているそうですね。
木下さん:金融機関に勤めて約25年。もともと投資には興味がありました。不動産投資を始める前には、株や債券、為替、投資信託などもしていました。「短期で早く儲けよう」とすると失敗する、中長期的な目線で続けると上手くいく、というのがわかってきて。中長期的な視点で金融商品を購入していました。
その中で気づいたことがあるのですが……。例えば給料で月々稼いでも、生活費などを除いた残りのお金の範囲内でしか投資ができない、というのが基本ですよね。ところが、不動産には「融資」という方法があります。このご時世、安い金利でお金を借ることができるんです。それをより高い金利で運用することができれば儲かりますよね。利ザヤで儲ける、ということに気づきました。
ラッキーなことに、サラリーマンは銀行から好かれています。サラリーマンというだけで、その人の属性というか印象が随分よくなる。「サラリーマンでやっていこう、と決めたからには、それを利用しない手はないな」と思いました。それで不動産投資を始めてみたんです。……続きを読む