サラリーマンだからこそ成功する! 「都心・中古・区分ワンルームマンション投資」で老後の不安を解消【後編】

5.不動産ローンは怖くない

編集部:不動産投資を始めるにあたって「ここが不安だった」ということはありましたか?

木下さん:ローンですね。儲かる仕組みが頭ではわかっていても、ローンは金利が付く以上「コストの塊」だという考えがあって。「お金を借りてわざわざコストを払いながら不動産を買うことに意味があるのかな」と思ったこともあります。ただ、資産を増やすということを考えたら、やはりお金を借りて利益を得るという方法をとらないと。そう考えて、ローンの怖さを克服しました。

空室が生じてしまうのではないか、というのも不安でした。しかし、実際は都心の物件ということもあり、ほとんど空きませんでした。

あとはもう「えいや」っていう感じですね。時間が経てば経つほど、堅い実績から不安感が薄れていくのが都心・中古・区分ワンルーム投資。思い切って始めてみるしかないですね。

編集部:思い切りが大切なのですね。

木下さん:投資に「リスクゼロ」はないと思います。「どういう失敗が想定されるか」を考えないといけない。とはいえ、考えすぎてしまうと「怖くて結局できない」ということになりかねません。

「やっぱり不動産は怖いから、株や債券、投資信託などを買おう」といっても、株にもリスクはあります。むしろ、株のほうがリスクは高いケースだってある。不動産投資への過度な恐怖心は持たないようにしてもらいたいですね。「怖い不動産ばかりじゃないんだよ」と。これはやはり経験してみないとわからないことでしょうね。

6.「長期的な視点」が不動産投資を成功に導く

編集部:木下さんは、不動産投資に必要なものは何だとお考えですか?

木下さん:私は長期保有すると決めたのですから、目先のことに一喜一憂しない、ということですね。心を広く持ち、何かあってもあまり動じない、というのが大切だと思います。

編集部:ご自身のブログで「月々のキャッシュフローが赤字でも問題ない」ということを書いていらっしゃいますね。

木下さん:キャッシュフローが赤字かどうかだけで、その物件を判断することはできないと思っています。先ほども申し上げたように、ローンは結局「コストの塊」なんです。仕組みとして借入期間が短くなれば、トータルの返済金額は少なくなる。長く借りれば借りるほど、月々の返済額は少なくてもトータルの返済金額が大きくなります。となれば当然トータル返済額が少ない方がいいわけで、返済期間を短くして月々の返済額をあえて増やせば、赤字は赤字でもローンの返済がすぐ終わります。期間を長くすれば、毎月の収支はプラスでもローンが終わるまでに時間がかかる。それを考えれば、毎月赤字だから不動産投資から手を引く、というのはいかがなものかと思いますね。物件の場所や利便性、築年数など色々要素はあると思いますが、その物件そのものを総合的に判断しないと。

結局キャッシュフローは、自分でコントロールできるんです。自己資金を入れてしまえば当然返済額は少なくなりますから、黒字にはできます。つまり、あまりよくない物件でも一時的に黒字にすることはできる。それよりは、いい物件であれば最初のうちは赤字でもいいんじゃないか、というのが私の考えです。

実は私、あまりキャッシュフローを重視していないんですよ。一棟もので何億円という借金がある人の場合、ローン全額返済よりも月々の黒字のために運用していて、10年か15年くらいしたら売り逃げする、という考えをお持ちだと思います。売り逃げできればいいのですが、実際は思っているほど簡単ではないと思います。売るとなると相場が影響します。相場を考えるのはプロにお任せして、物件の相場を考えなくてもいいようにする。そこは素人が首を突っ込まないほうがいいと思っております。よく「出口戦略をきちんと考えなさい」と言われますけれど、物件選びさえ間違わなければ、売り時はあまり考えなくてもいいんじゃないかと思っています。

為替取引の場合でも相場に怯えて毎日毎日ドキドキする、というのは精神衛生上よくない。私の場合、退去がなるべく発生しないような物件を選んで購入していますが、できるだけ放ったらかしにしておいて平常心を保てるような不動産投資をしていくのがいいんじゃないかな。本業はサラリーマン、不動産投資は副業ですから。

編集部:昨年あたりから、会社員の方に銀行の融資が下りにくくなっていると聞きます。

木下さん:それは確かにあります。融資は厳しくなっているかもしれませんね。ただ、不動産の種類にもよると思います。最近はある銀行の不祥事の影響で、地方のアパートに関しては貸し渋っているようですが、都心の中古区分ワンルームマンションはそれほどでもありません。逆に、融資の枠を増やしたり、返済の最長年数を延ばしたりしている金融機関もあるくらいです。サラリーマンに対する融資が絞られてきたといっても一律ではなくて、融資の対象やその物件などによって異なります。相場についても同様に、地方のアパート一棟ものが下がってきている反面、都心の区分は上がっています。かつて区分ワンルームマンションは融資が下りにくいと言われていましたし、実際にそう思ったこともありますが、徐々に変わってきているようです。

編集部:区分中古マンションだと、逆に融資を受けやすい状況になってきているんですね。

木下さん:区分の中古ワンルームマンションは、実はほとんど提携ローンなんです。同じような物件でも、この不動産会社は提携ローンが組めないので融資が出ません、こちらの会社は提携ローンが組めるので100%融資が下ります、ということが生じます。ですから、どの会社から購入するか、は重要です。不動産投資セミナーに行くと、不動産会社からどの金融機関と提携しているか、という話が出てくると思います。提携先が多い不動産会社を選ぶ、というのもひとつの手ですね。

7.サラリーマンの資産形成に役立つ情報を発信していきたい

編集部:話は変わりますが、木下さんのブログは記事が充実していますね。

木下さん:どんどん書きたいですし書くネタもあるのですが、書く時間がなくて……。やればやるほど面白いんですよ、不動産は。先ほどの「キャッシュフローはなぜ赤字ではダメなのか」という話と関係があるのですが、「ローンの繰り上げ返済は、やり方によっては損得にすごく影響してくる」ということはあまり知られていない。私のように、複数の銀行に複数の物件に対して、それぞれ異なるタイミングでさまざまなローンを組んでいると、「金銭的に余裕が出たので繰り上げ返済しよう」となった場合どのローンを選ぶかが、トータルコストに結構影響するんです。

ローンは「ただ金利が高いものに繰り上げ返済すればいい」ということではありません。繰上返済で節約できるのは利息部分です。その利息は、残存期間と金利、それと元本で決まります。例えば、5%の高金利ローンがあるから完済するまで集中的に5%のローン返済をしていくよりも、最近借りたばかりで残存期間の長い2.5%のローンを最初に減らした方が、節約できる利息が大きくなるということも起こりえます。

ローンを組むと、返済予定表が送られてきますよね。それを見れば一目瞭然です。借りたときから完済まで、毎月の返済金額がずらっと並んでいます。毎月の返済額が5万円だとして、その5万円の中に含まれる元金と利息の金額が隣に表示されています。それをよく見ると、元金の金額はだんだん増えていき、利息の金額はだんだん減っていくのがわかります。つまり、ローンを借りたばかりの頃の利息の方が多いということです。例えば50万円を返済すとなると、元金の部分が50万円になるまでの期間が短縮されることになります。節約できるのは、その短縮された期間に対応する利息の部分です。これを払わなくて済んだ、ということになります。終わりかけのローンの50万円を返済したとしても、節約できる利息は微々たるもの。ところが、借りたばかりのローンの場合、元金が小さく利息が大きい。ですから、新しいローンを返済した方が節約できるコストが大きい場合もあるのです。

ある金融機関は「はじめの5年間は繰り上げ返済禁止」あるいは「繰り上げ返済に手数料がかかります」というルールになっていたりします。新しいものであればあるほど、そのように縛りたがるんです。そのほうが、自分たちの収益が固まりますから。初めのうちは貸したお金をどんどん返されたらたまらないわけです。逆に、時間がある程度経てば、自分たちが旨味を取ったあとなので「どんどん返してくれ」となるんです。

編集部:確かに、木下さんがおっしゃったローンの仕組みはあまり知られていませんね。

木下さん:同じ5万円の返済金でも、それに含まれる利息が毎月毎月変わってくるので、その利息が大きい方を先に返した方がお得です。そういうことを、これから発信していきたいですね。返済予定表を見れば一目瞭然ですが、教えてもらわないとわからないことでもありますから。

編集部:今後、物件を増やすご予定は?

木下さん:娘の教育費の支払いがあと4、5年で終わるので、その分浮いたお金をローンの繰り上げ返済に充てていく予定なんです。で、定年退職する60歳~65歳くらいでローンの返済を終わらせて不動産収入を増やす、というのが私の青写真ですね。

それができれば、当初の目標である「引退してから50万円作る」という目標は達成できたも同然。そのあとは、今までと思考を変えて、築古など難易度の高い激安不動産などを買って、効率よく稼げる不動産投資もしてみたいですね。短期で成果が出るような投資にも、できる範囲でトライしていきたいです。

8.これから不動産投資を始めたい人に必ず実践してほしいこと

編集部:不動産投資を始める前に、たくさん本を読まれたそうですね。

木下さん:100冊以上読みました。不動産といっても、築古や新築、区分マンションなどさまざま。自己分析して「自分がどういう風になりたいのか」を決めるのは当然大切なのですが、不動産投資は本当に幅広いので、「何が自分にマッチするか」を知るために勉強の段階であらゆるジャンルの本を読んでおくのがいいと思います。皆さんよく「メンターを見つけろ」と言いますよね。メンター探しは悪いことではないのですが、その人の言うことだけを信じるようになってしまうと視野が狭くなってしまう可能性があります。本を読んで、色々と調べたうえで方向を決める、という順番で進めることが重要です。

編集部:知識の偏りをなくすことは大切ですね。

木下さん:不動産投資はひとことで言えないくらい色々ありますし、目標も人それぞれ。その中から自分に合う投資術を見つけるのはそう簡単なことではないはずです。「勉強しすぎて行動に移せない」というのもよくないことでしょうけれど、不動産会社の「今しかない」という言葉に慌てて買うのではなく、ある程度しっくりくるタイミングを見極めて進めることも大切なのではないでしょうか。ある程度自分で勉強してから「よし!」と思って進めるのと、何もわからない状態で勢いだけで進めるのとではまったく違いますから。

編集部:これから不動産を始めたい人にアドバイスするとしたら、どんなことを伝えたいですか?

木下さん:まず、不動産投資に限らず投資全体を幅広く勉強しましょう。無料のセミナーもありますし、投資関連ブログを読むのは無料です。よろしければ私のブログもお読みいただけると嬉しいです。できるだけ勉強の時間を作りましょう。そのように幅広く学ぶことは前提として、必ず自己分析してみてください。

2019年9月インタビュー実施

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