年収・自己資金別 金融機関が「貸したい」不動産投資家になる方法【後編】

〈不動産投資家実践ストーリー Vol.21 孫子大家さん〉

前編

5,年収500万円〜800万円の戦略

編集部:年収500万円〜800万円位の人はいかがでしょう?

孫子大家さん:この年収で自己資金400万円ない人は、まず収支を見直す必要があります。

必要なのは、出費を減らすこと。特に固定費の見直しです。保険や家賃、携帯電話料金、ガス料金、電気料金など減らせるものがないかチェックしてみましょう。また、会社の飲み会への参加を減らす、二次会には絶対参加しないなどのルールを決めることも出費を減らすことにつながります。

また、この年収の人は会社から高い評価を受けているはずなので、ライバル会社への転職を考えてもいいと思います。ただし、異業種への転職はキャリアが崩れるので同業種への転職をお勧めします。

自己資金400万円以上ある人は特に問題なく融資を受けることができると思います。

6,年収800万円以上の戦略

編集部:ありがとうございます。では、年収800万円以上の人はいかがでしょう?

孫子大家さん:年収500万円〜800万円でも自己資金400万円ない人は、考え方を変えないと不動産投資をしていてストレスに晒させると思います。

結婚している方なら、まず夫婦でどういう生活をしていきたいのか話し合い、目指す家庭のイメージを明確にして共有することが大事です。この年収帯で400万円貯まっていないということは夫婦間で将来的なお金の話をしたことがない可能性が極めて高いです。

私は個別コンサルを実施する際、夫婦で来てもらうようにしています。
なぜなら、将来的なお金の話しをしたことがない夫婦は、5年先10年先の目標が違うことが多いからです

不動産投資を始めるタイミングに夫婦間でしっかり話をしておかないと、たとえば、旦那さんが家族のために自己犠牲と考えて、土日を潰して不動産投資活動をしているつもりでいる。
一方奥さんは、十分な年収があって特に金銭的な不満はないはずなのに、土日や深夜まで不動産投資活動を行っている旦那さんにストレスを感じる。

そして、旦那さんが夜疲れて帰って来たのに、奥さんから「お疲れ様」どころか不満を言われるということが度重なり、関係がギクシャクしていくような事態になりかねないのです。

7,「あなただったらリスクを取ってでも貸せる」と言われるには

編集部:ありがとうございます。最後に孫子大家さんが最近有利な条件で融資を受けた事例があれば教えていただけますか?

孫子大家さん:今年(2019年)に買った物件です。

1,築40年RC 田舎の駅前、修繕後利回り33% 現在入居8割 融資期間7年 金利0.68% オーバーローン
2,築22年 政令指定都市駅前 修繕後利回り17% 現在入居率6割 融資期間 20年 金利0.68% フルローン

私は物件を買うたびに銀行にとって貸しやすい属性や財務諸表にしていくことを意識しています。その結果こういったいい条件で、融資が受けられるようになりました。

このような条件を出してくる金融機関は審査が遅いのが特徴ですが、私は現金を大量に保有しているので、融資特約を付けずに買えます。

売主にとっても、不動産業者にとってもカタい取引なので安心です。金融機関にとっても、融資が間に合わないことがないので時間の無駄になることがありません。このように関係者全員にとって一番付き合いやすい大家になっています。ですからいい物件を持って来てもらえるのです。これは孫子の兵法の、「戦う前に勝つ状態を作る」ということを意識してとっている戦略です。

8,「不動産投資で利益を出す」という本質を見失わないために

編集部:自分が借りられる金融機関を探すことも大事ですが、その前に金融機関の考え方を知り、金融機関が貸したい人のイメージを明らかにする。そして、それに近づく努力をしましょうということですね。

孫子大家さん:そうですね。
まとめますと、まず借りられる銀行を探す前に、「自分は銀行が貸したい人なのかどうか」を考えてみましょう。その結果貸したくない人であれば、リスクが高いので金融機関は融資をしないか、融資をしたとしても金利が高くなります。

しかも安全な物件(満室物件)でないと融資を受けることができません。満室物件ということは、すでに価値が最大化されている物件(価格が下がるしかない物件)です。

そういう物件は買った瞬間家賃収入が発生するので一見安心に思えます。しかしそれは不動産投資で「利益を出す」という本質を見失っているのではないかと思います。

例外もありますが、本当に儲かる物件は基本的にはリスクが高いので融資がつきにくい物が多いのです。しかし、金融機関が「あなただったらリスクを取ってでも貸せる」という属性になっていれば貸してもらえるのです。

この場合、その物件を買える人はなかなかいないので物件価格が安い。しかも問題がある物件だから、価値が最低に低い。ということはその問題を解決する力があれば価値を最大化できるのです。価値が最大化できた物件は含み益を抱えているので、金融機関にとってはより安定した貸しやすい大家になっているということです。

ですから、私は借りられる銀行を探す前に借りられる不動産投資家になることをお勧めします。

ありがとうございました。今回孫子大家さんのお話から感じたことは、「まず金融機関が貸したい人かどうかを考えてみる」という、一見当たり前のことを見落としがちになっているのではないかということです。融資を受ける側になると、つい「客」の視点で金融機関と対応してしまうこともありそうです。不動産投資家にとって金融機関は最も重要なパートナーのひとつです。常に良い関係を構築し、お互いが成長できる不動産投資ビジネスに取り組んで行きたいものです。

インタビュー実施 2019年7月

(関連記事:「孫子の兵法」で自己資金200万円を6年で1億円にした「孫子大家流 不動産投資術」とは

■孫子大家さんの著書
サラリーマンが副業で最短で年収を超える不動産投資法

■孫子大家さん主宰 大家の会
軍師大家の会

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