不動産投資は数多くの人が行っていますが、その中でも弁護士の方は不動産投資に適しています。というのも、「掘り出し物に出会いやすい」「高度な専門知識がある」「好条件な融資を受けやすい」という3つのメリットがあるからです。
これは、弁護士という職業柄の特徴なので、その点を活かせる不動産投資は弁護士にとってメリットのある投資といえるでしょう。今回は、上記3点について詳しく解説していきます。
●掘り出し物に出会うチャンスに恵まれている
1つ目のポイントは、掘り出し物に出会うチャンスに恵まれているということです。この点に関しては、理由を含め以下の点を理解しておきましょう。
・物件情報は非公開物件もある
・不動産関係の業務と接することが多い
・知識があるので難あり物件も取り扱い可能
○物件情報は非公開物件もある
前提として、投資物件情報は非公開情報もあります。たとえば、「不動産投資 物件」と検索すれば、不動産投資の物件を多数取り扱っているポータルサイトや、不動産仲介会社のサイトなどがたくさん出てきます。
一般的には、そのポータルサイトで物件を見つけ、物件を仲介している不動産会社に連絡を取って物件を検討するという流れです。不動産会社のサイトも同様に、その不動産会社と連絡を取って、取り扱っている物件を紹介してもらうという流れになります。
いずれにしろ、このような流れで得る物件情報は、一般的に公開されている情報であり、誰もが手に入れることができる情報です。しかし、収益性の高い「掘り出し物」は、一般的に公開すると出回り物件となり価値が下がるので、非公開物件となっている場合が多いのです。
非公開物件になっていれば、その所有者と直接つながりあったり、その所有者が信頼をおいている不動産会社と太いパイプを持っていたりしないと、情報を得ることが難しくなります。
○不動産関係の業務を取り扱うことが多い
そんな非公開情報を弁護士が得られやすい理由は、不動産関係の業務を取り扱うことがあるからです。弁護士は業務上、不動産に関係する案件や係争に関わることもあります。
その結果、前項のような非公開情報を豊富に取り扱っている不動産業者や、自ら多数の不動産を所有している資産家などと関わることもあります。その結果、一般の人が知り得ることができない情報とつながり、掘り出し物と出会える可能性があるのです。
○知識があるので難あり物件も取り扱い可能
たとえば、競売にかけられている物件は以下のようなリスクがあります。
・得られる物件情報が少ない
・入札までの時間が限られている
・引渡し義務はない
・瑕疵担保責任がない
競売物件の場合、物件明細書・現況調査報告書・評価書という3つの資料で物件の取得を判断しなければいけません。また、入札までの時間が限られていますし、占有者がいる場合は引渡しを受けられないこともあります。
さらに、瑕疵担保責任がないので、建物に瑕疵があっても全て取得者の自己責任になります。このようなリスクがあるため競売物件は一般人が取得するケースは少なく、逆にいうと需要がないので安価で取得しやすいです。
弁護士の場合、業務で競売物件に関わっているなどであれば、競売物件について法的リスクも含めた対策が可能です。そのため、一般の方よりも低いリスクで掘り出し物の競売物件を取得することも可能になります。
●高度な専門知識でトラブルに巻き込まれにくい
2つ目のポイントは、高度な専門知識でトラブルに巻き込まれにくいという点です。
不動産取引には、民法や宅地建物取引業法などの法律が絡んできます。不動産は一千万円単位の高額な商品であるが故、売買時のトラブルは少なくない取引で、具体的には以下のようなトラブル事例があります。
・仲介業者が調査を怠ったことで物件取得後に不利益を被る
・売主の不利益事実の不告知により耐震補強をしていると誤認した
・価値の無い原野や山林を「価値が上がる」と勧誘し騙し売った
・借主が賃料の支払いに応じない
このように、物件取得時もそうですが、物件取得後も賃借人とのトラブルリスクがあります。入居者とのトラブルは管理会社が対応するものの、所有者が弁護士であれば法的措置への移行などが迅速に行える強みがあります。
また、何よりも弁護士は法律の専門家であるので、そもそも上記のようなトラブルに巻き込まれないようにリスクヘッジすることが可能な点も強みです。
●好条件で融資を受けやすい
弁護士の方は収入の高さと安定性によって、金融機関の審査に通りやすいです。また、不動産投資ローンは、借入者によって金利などの条件面が変わってくるので、その点も信用力の高い弁護士は有利に働くケースが多いです。
不動産投資において融資は非常に重要であり、「支出」の大半はローン支払い額です。つまり、そのローン支払い額を抑えることができれば不動産投資に成功しやすく、弁護士はそれができるのです。
○金利が1%違う場合の支払い額の差
仮に、借入金額5,000万円・借入期間25年・元利均等返済でローンを組んだ場合、金利が1%違うときの支払い額の差は以下の通りです。
・金利2.2%:返済総額65,048,622円、月々返済額216,829円
・金利3.2%:返済総額72,701,699円、月々返済額242,339円
このように、金利が1%違うだけで、総返済額で約7,653万円、月々返済額で約2.5万円の支払い差になります。不動産投資における最大の支出はローン支払い額になるので、それを抑えることができれば不動産投資の収益性は格段に増します。
そして、借入者によって上記のように1%の金利差が出るケースは、そう少ないこともでもないのです。
○借入期間によって返済額を調整できる
「好条件の融資」は、前項の金利以外に借入期間を調整できるというメリットもあります。借入者のプロフィールによっては、35年の借入期間で希望していたものの、金融機関から25年でないと融資できないなど、期間を短縮して回答されるケースがあります。
収入面で信頼性の高い弁護士は、この借入期間もある程度調整できるので、自身の希望に合わせた借入期間に調整可能です。たとえば、総支払額は多少上がってよいものの、月々支払い額を抑えたい場合は借入期間を長くすることで対応できます。
○物件の担保価値と収益性に注意
一点注意すべきことは、不動産投資ローンの場合は借入者の年収や職業などの「収入面」以外に、物件の担保価値と収益性も審査において重要という点です。
というのも、不動産投資ローンの返済原資は物件からの家賃収入になるので、収益性の高い物件でないと返済できなくなります。そのため、たとえ年収が高く安定性も高い弁護士でも、特に借入額が高額だと物件の収益性も重視される点は認識しておきましょう。
●まとめ
このように、「掘り出し物を見つけやすい」点は、収益性の高い物件を取得しやすいというメリットにつながります。そして、「高度な専門知識がある」という点は、不動産投資に関連するトラブルに巻き込まれにくいです。
さらに、「好条件で融資を受けやすい」という点は、不動産投資での支出を抑えやすいという大きなメリットにつながります。弁護士の方は、この3つのポイントを理解した上で不動産投資に臨めば、より不動産投資に成功しやすいといえるでしょう。