日雇いアルバイトから家賃収入月300万大家になったエリア特化不動産投資戦略【前編】

〈不動産投資家実践ストーリー Vol.23 中村貴広さん〉

今回の不動産投資家実践ストーリーは、埼玉県川口市に特化し地元の金融機関を利用した不動産投資を実践。10年で投資総額2億円、 家賃年収3600万、年間キャッシュフロー1800万円、手取月収150万円を達成。現在は自主管理で物件を運営しつつ、不動産会社経営、講師、イベント運営などを行っている、中村貴広さんです。
中村さんはこれまで10年どのように不動産投資を実践し、成功を手にされたのか。これから不動産投資を始める方の参考になる貴重な実践体験をお聞かせいただきました。

1,経営学を学んでみたものの日雇いバイトに

編集部:中村さん、今日はよろしくおねがいします。まず、簡単にご経歴と不動産投資に参入されたきっかけを教えていただけますか?

中村さん:はい。私は、大学時代起業家を目指して大学で経営学を学んだのですが、就職活動がうまくいかず、目指す会社に入社することができませんでした。その後公認会計士資格を取ろうと思い、資格学校で4年かけて勉強しましたが結局合格できませんでした。その後会計知識を活かし就職しました。しかしどの会社も長続きせず、ついにはティッシュ配りやクレジットカード勧誘、工事現場の清掃などの日雇いアルバイトで生計を立てていました。
しかし起業の夢を諦めきれず、健康食品の代理店ビジネスを始めたのですが赤字が続き撤退しました。

そんなある日、『金持ち父さん貧乏父さん』を読んで不動産投資に興味を持ちました。
その後、『アパート一棟買いなさい』という本を読んで本格的に不動産投資を学んでみようと思いました。そして不動産投資関連本を読み勉強を続けていました。ちょうどその頃、父親早くに亡くなり、40坪の土地を相続しました。

2,父から相続した土地活用を考え不動産業者へ就職

編集部:ありがとうございます。その土地を活用して不動産投資を始めたのですか?

中村さん:いいえ。その土地をどう使おうか悩みました。売るという選択肢もありましたが両親が一生懸命頑張って手に入れた土地をそう簡単に売りたくありませんでした。

なので、駐車場として貸すことと、新築アパートを建てる事の2つを考えました。両者を比較すると、どちらも得られる収益はあまり変わりませんでしたので、多額の建築費をかけてリスクを負ってアパートを建てるより駐車場として貸すことを選びました。

しかし将来的にその土地をもっと有効活用したいと考えていたので、もっと不動産について勉強しようと考えました。
そして、不動産のことを勉強するならば不動産屋に就職するのが1番早いと考えて地元の不動産会社に就職しました。

3,世の中に「ムダ」はない

編集部:不動産を学ぶために不動産業者へ就職というのはすごい行動力ですね。そして、最初にお父様から相続した土地活用をされたのですか?

中村さん:いいえ。その土地は結局今も駐車場のままです。最初に買った物件は、400万円の区分マンションでした。

編集部:最初の物件を買う前は不安があったのではないかと思いますがどんなことが不安でしたか?

中村さん:最初は400万円の区分マンションを現金買いで、親からの援助も少しありました。万一空室が続いても管理費15,000円の持ち出しになる程度でしたので、それほど不安はありませんでした。

その次に購入した物件は、4,500万円のアパートで12室中3室空いていたので、空室を埋められるかどうか不安でドキドキしました。

その物件は、不動産仲介の仕事をしていた時に自分で見つけた物件でお客さんに紹介しましたが誰も購入者が現れなかった物件でした。4,500万円の11室アパートでした。

私の家から歩いて行ける距離にあるのですが、最寄り駅からは遠いのでバス便です。しかも古い物件でした。1室は飲食店が退去した店舗で、壁が壊れ床も剥がれているような状態でした。満室になれば利回りはいいのですが、リフォーム費用がかかるということで誰も買わなかった物件です。

編集部:なぜその物件を買おうと思ったのですか?

中村さん:家の近くですし、利回りがよかったからです。土地勘があって賃貸ニーズがあることはわかっていましたし、空室の埋め方に関するノウハウ本を読んで勉強していましたので、満室にできそうな気がしていたからです。

編集部:不安の解消の仕方は、知識をつけることとリサーチをするということになりますか?

中村さん:はい。あとは、収支シミュレーションをしておくことです。一番怖いのは、融資の返済が滞ってしまうことですから、空室を見越して返済の原資を確保しておくことが重要です。

銀行とのやり取りの中で決算書の内容や今後の経営方針を話すときに会計の知識をもとに話していくと担当者にもスムーズに伝わります。公認会計士資格取得を目指して勉強したことが役に立っているのかもしれません世の中に「ムダ」はありませんね。

不動産投資も「投資」ですから不安はあるのですが、僕はどちらかというと不安なことを考えるより、うまくいくことをイメージしていました。あまりネガティブなことを考える性格ではないので、妻からは「あなたはいつも楽観的過ぎる」と言われることもあります(笑)

最近は、物件購入の決断は直感的にやっています。買っていい物件のときは勝手に体が動くような気がしています。逆に買っちゃいけない物件のときは体が動きません。

4,成功の秘訣は物件購入基準を厳格に守ること

編集部:直感的に動くというのは、明確な購入の判断基準をお持ちで、それが無意識レベルにまで落とし込まれているので、意識しなくても判断できるようになっているのではないかと思いますが、どういった基準をお持ちですか?

中村さん:そうですね。例えば利回りは10%以上が基準で、12%以上だと心が動きます。
今は積算比率が重要です。できるだけ現金は手元において融資を使って買いたいので、積算比率は90%以上欲しいですね。

現状(2019年8月)の金融機関の審査基準だと、どうしてもフルローンが難しいので購入したい物件の1割から2割は自己資金が必要になってきます。それくらいになったら次の物件を購入するようにしています。

築年数と利回りの関係は「あと何年使えるか?」を逆算して「その半分の期間で回収できるかどうか」を考えます。あと20年使える物件だったら10年で回収したいから利回り10%以上なら土台に乗る。1÷10年=10%という計算ですね。

あと10年くらいしか持たないと思ったら5年で回収したいので利回り20%は欲しいと考えます。1÷5年=20%という計算。

ざっくりとした計算ですが、その上で土地に価値があるならば建物の分だけ回収すれば良くなるので計算が少し甘くなります。2,000万の物件で土地の価値が1,000万あるならば
建物があと20年使えるなら10年で建物代と土地の半分くらいは回収したいので10年で1500万稼いで欲しいので「年間150万 ÷2,000万=7.5%」あとは金利分も稼ぎたいので金利2%と税金や修繕費も2%くらい考えて11.5%。切り上げて12%と考えます。
そういう計算を頭の中で瞬時にできるようになっているのかもしれません。

5,いい物件に巡り合うには「数」をこなすこと

編集部:ありがとうございます。ところで、4,500万円のアパートの融資はどこから受けたのですか?

中村さん:当時不動産業者に勤めていて、年収300万くらいしかなかったので、普通4,500万の物件は買えないのですが、地元の信用金庫で借りられたのです。

借りられた理由は3つあって、ひとつは副業の収入で確定申告をしていたこと。もう一つは、もちろんその信金の営業エリアにある物件だったこと。そして何より大きかったのは、前の所有者が、その信金から融資を受けて買っていた物件だったことです。

前の所有者が支払いに行き詰って任意売却に出していた物件でした。信金としては、買い主が見つからず競売にかけるより、任意売却で売れたほうがいいということで融資を受けることができました。時期もタイミングもよかったと思います。運が良かったのかもしれませんが、数多く物件情報を見ていたことが良かったのだと思います。

編集部:その物件は今でもお持ちなのですか?利回りはどれくらいですか?

中村さん:はい。今でも持っていて、利回り15%で月30万くらいキャッシュフローが出ています。

編集部:それはいい物件ですね。その後買い増しをしていかれたのですか?

中村さん:そうですね。とは言っても決算書の中身がよくなかったので、200万円の区分マンションのバス便区分マンションを買ったりしていました。その後4室のアパートを2012年7月、2014年2月、2015年1月と1年に一戸くらいずつ買い増しをしていきました。……後編へ

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