日雇いアルバイトから家賃収入月300万大家になったエリア特化不動産投資戦略【後編】

〈不動産投資家実践ストーリー Vol.23 中村貴広さん〉

6,不動産業者になったことで物件取得の選択肢が増えた

編集部:ありがとうございます。現在は不動産業者として、土地を仕入れて戸建ての建売りをされているということですが、これも積極的にやっているのですか?

中村さん:1年に2〜3棟くらい販売しています。その収益で自己資金を増やし新たに投資物件を購入しています。戸建住宅はマイホームとして一般のお客様に販売するので住宅ローンが使えます。アパートローンは審査が厳しくなっていますので、今は融資が出にくいので、そういう方法で自己資金を作っています。不動産業を行っていることで、物件購入方法の選択肢が増えています。

7,無闇な金利交渉は命取り

編集部:最近は金融機関に融資の申込みをしましたか?

中村さん:1年くらい前に、14室全空物件をノンバンク系の金融機関で申込みました。それは融資が出ました。直近では借地の戸建てを買おうとして、同じところに申し込んだのですが、否決でした。

編集部:なぜ否決だったのですか?

中村さん:これは私の推測なのですが、以前14室全空アパートを購入したときの借入金利の引き下げ交渉をしたことが原因かもしれないと思っています。結局金利を下げてもらうことはできたのですが、その後審査が厳しくなったのではないかと思っています。ですから、無闇に金利交渉はしないほうがいいですね

8,不動産投資成功のために重要なこと

編集部:金利交渉をすると、次に借りにくくなることがあるおので無闇に金利交渉をしないほうがいいということですね。 ところで、これまで不動産投資を実践してきて、成功のために重要だと思うことは何ですか?

中村さん:はい。リサーチと数値で考えることが大事ですね。まず物件を選択する場合に入居が決まるかどうかを調べることが重要です。マクロとミクロの観点から見る必要があると思います。

たとえば、「日本国内の人口が減るから買わない」という考え方がありますが、人口が減る所があれば増えるところもあります。周辺環境を見極めて、人の流れが来る場所を見極めることが重要だと思います。

それと、バス便のエリアでも、朝夕バスの本数が10分に1本以上あるところであれば賃貸ニーズはあります。見ているようでバスの本数までチェックしている人は少ないです。

編集部:なるほど。バスの本数まで見ている人は少ないかもしれませんね。他に重要だと思うことはありますか?

中村さん:はい。そして融資の返済比率です。返済比率は50%以下が理想的ですが、最低でも60%以内に収めておかないと危険です。また、家賃設定を1割くらい下げても収益が得られるかどうかを確認します。

それと、できるだけ安く買うことです。不動産業者さんを通じて売主さんへ交渉してもらうことですが、売主さんから聞かれる前に、こちらの情報を提示することが重要です。こちらが先に情報を開示すると、相手もオープンに話しをしてくれることがよくあります。

私の場合でしたら、不動産投資のキャリアや所有物件数、自己資金の額などを伝え、「買える人」であることを理解していただい上で、駆け引きをするのではなく、こちらが持っている情報を開示して落とし所を探っていくというイメージです。

それから、不動産投資はいかに有利な条件で融資を受けるかということがキモになります。そのために重要なのは決算書を黒字でいい状態にしておくことです

また、融資を受けた金融機関と、これから融資を受けたい金融機関に決算の状況を知らせおくことも重要です。そうすると金融機関は安心できますし、次の物件購入時融資の打診をするときには、事前に決算書を提出しておけば速やかに審査を進めてもらうことができます

編集部:客付けの面で大切にしていることはありますか?

中村さん:そうですね。賃貸仲介会社さんといい関係を作ることを大事にしています。そのために、持つ物件は全部近いエリアに集中させています。エリアを集中させれば効率的に訪問できますので、仲介業者さんと密にコミュニケーションをとることができます。

9,今後の目標はさらなる拡大

編集部:不動産投資家として今後の目標がおありでしたら教えていただけますか?

中村さん:はい。まだ拡大したいと考えていますので、戸建て販売で得た利益を元手にさらに物件を買い増ししていきたいと思っています。

また、今は物件を自主管理しているのですが、そろそろ手が回らなくなってきましたので、管理会社への委託を考えています。管理をアウトソースすることで入居者さんの満足度も上げていきたいと思っています。

10,これから不動産投資を始める方へアドバイス

編集部:ありがとうございます。これから不動産投資を始める方にアドバイスをお願いします。

中村さん:そうですね。実際にやってみることが何より勉強になりますので、小さく初めてみる事が重要だと思います。

まず自分が知っている土地勘があるエリアの物件をたくさん見て相場観を養ってください。それから、できるだけ多く内覧をして、不動産業者さんと関係を作ることも大事です。その上で、割安な物件を買ってみましょう。

投資用物件サイトだけでなく、SUUMOやHOMESなどのマイホームが掲載されている情報サイトにも割安な物件が掲載されていることがありますので、チェックしておくことをお勧めします。ご自身の属性に応じて買える物件を買って運営してみると、自然と次の扉が開いていくのではないかと思います。

また、不動産投資の知識や情報量が多いほうが有利ですので、大家の会などへ参加して不動産投資家仲間を増やして情報交換をすることも重要です。そういうところで刺激を受けながら頑張ってもらいたいと思います。

編集部:それから、中村さんは西川口パンダプロジェクトというものを主催されていますが、これは具体的にどういったことをされているのですか?

中村さん:はい。これは地元西川口の地域貢献プロジェクトです。西川口は中国の人が経営する飲食店が多く、日本人が使いにくいという意見が多いのです。中国の方が増えて西川口が活性化している事はいいことなのですが、文化の違いから日本人が利用しにくい店が多いのです。たとえば、中国語のメニューしか用意されていない、接客が中国語だけという言語の問題。それから、料理が小分けでなく大皿で提供されるなどの問題です。そういった問題提示を行い、解決していくことに賛同する飲食店を増やし、さらに中国人と日本人の関係を深めていくことで西川口の発展に貢献することが目的です。

このような社会貢献に時間をさけるようになったのも不動産投資のおかげだと思っています。 不動産投資はそれ自体が目的なのではなく、ご自身が将来やりたいことができるようになるために自由に使えるお金と時間を確保する必要がある。 そのための手段として非常に良い選択肢だと僕は思っています。

まとめ

ありがとうございました。
中村さんのお話から感じたことは「物件選びの基準が明確で、それを厳格に守っている」ということです。日々物件を探していて、なかなか購入基準に該当する物件が出てこないと、妥協して購入したくなってしまうこともあります。すると後々取り返しがつかない事態に繋がる恐れがあります。そういった失敗をしないために、あらかじめ購入基準を明確に決め、それに該当する物件だけを購入するということが重要ではないかと思います。

中村 貴広 (野良犬たかまん)
1978年生まれ。起業家を目指し学習院大学経済学部経営学科にて経営学を学ぶ。
大学4年時に就職活動に失敗し、公認会計士の資格取得を目指し資格学校に入学。4年間かけて公認会計士を目指すも挫折。会計知識を活かし就職するものの3ヶ月ほどでの退職を繰り返す。ついにはティッシュ配り、クレジットカード勧誘、工事現場清掃などの日雇いアルバイトで生計を立てる日々が続く。
起業の夢を諦められず健康食品の代理店ビジネスを始めるも赤字が続き撤退。その後ベストセラー書「金持ち父さん貧乏父さん」に出会い、不動産投資に興味を持つ。
不動産投資家を目指し日雇いバイト生活に区切りをつけ、不動産業界に転身。宅建士資格を取得し不動産仲介、管理などの業務経験し、不動産投資家としての基礎知識を築き上げる。不動産業界での知識を活用して信用金庫から融資を引き不動産投資を開始。
2010年7月にアパート経営を本業にして独立、2011年3月に不動産会社を設立。
好調な利益を得る中で自信を持ち、その後、埼玉県を中心に区分マンション・中古アパートを信用金庫からの融資で買い進める中で、購入物件をキレイに修繕することで購入価格より高い金額で販売できることを知り、仕入れ販売事業も始める。
現在も継続的に信用金庫を活用した不動産の購入、修繕、売却をするとともに、融資の引き方や修繕の仕方などセミナーを始め、雑誌・専門誌などでも指導している。

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