<不動産投資家実践ストーリー Vol.13>
八木エミリーさん
7,金融教育が日本を変える
編集部:八木さんの目標のひとつは、「地元の活性化」ということですが、いま具体的にその目標につながる事業としてどういったことをされていますか?
八木さん:いまは若者の金融教育をしています。なぜなら、若い人を対象にやることは、自分が若いうちにやることに意味があると思っているからです。
2018年から金融教育の『em会』というオンラインサロンで講座やセミナーをやっています。
いまはおもに株式投資がテーマです。受講者さんの不動産投資に必要な資金準備の意味もあります。わたしも不動産投資の前は、株式投資で資金を作ってきましたのでその手法をお伝えしています。実際に成果が出している人も徐々に増えてきています。
これからの時代、日本人に金融教育は絶対に必要だと思っています。あとは、なぜ若い人にフォーカスしているかと言うと、ひとつは、投資は複利の力が働くので若いうちにはじめたほうが得られるメリットが大きいこと。
それと、これからの日本を作る世代の人たちに金融教育が行き届けば、その先日本全体が変わっていくと思うのです。
編集部:どういう点が変わりそうですか?
八木さん:たとえば「お金がないから夢を持てない」「お金がないから犯罪に走る選択をする人もいる」「お金がないから離婚する」とか、そういう問題を解決できる可能性があると思います。
多くの人が抱えている問題主に2つで「人間関係の問題」と「お金の問題」だと思っています。そのうち「お金の問題」を少しでも解決するお手伝いができれば、もっと幸せな人が増えて、犯罪が減って、人間関係のトラブルも減って日本はもっといい国になっていくと思うのです。
日本はこんなに衛生的で環境も整っている恵まれた国なのに、世界的に見ると国民の幸福度が低いと言われています。それがなぜかを考えると、「金融リテラシー」の問題があるのではないかと思っています。
そこに対してわたしが正しいアプローチをできれば、少しは変えられることがあるんじゃないかと思っています。それを若い人に対してわたしが若いうちにやりたいので今はそれに集中しています。
編集部:それから、シングルマザーのためのシェアハウスを運営もしたいということですが、これもその一環ですか?
八木さん:はい。これも次の段階でやろうと思っています。
8,これから不動産投資をはじめるなら
編集部:ありがとうございます。話は変わりますが、この記事の読者の中には、八木さんがこれから不動産投資をはじめるなら、どういうアクションをするかを知りたい方もいらっしゃいます。
そこでお聞かせいただきたいのですが、2019年のいま、金融機関が投資物件購入に対する融資が引き締めている環境です。八木さんがこれまで不動産投資を行ってきた時代とは少し状況が変わっているのではないかと思います。
もし、いまの社会背景の中で、八木さんがまだ会社にお勤めだったとしましょう。そして、年収700万円くらいあって、自己資金が500万円程度あるとします。そういう状況でまずは月のキャッシュフロー50万円を目標にしたとすると、どんな投資をしますか?
八木さん:わたしだったらいまは不動産投資には参入せず、金融投資をやります。その後タイミングを見て不動産投資に参入を考えます。
投資手法は、株式・債券・不動産など様々ありますが、それぞれいいとき悪い時があります。
いま不動産投資市況は追い風ではないとわたしは思っています。融資が受けにくいときにどうあがいても太刀打ちできないんです。環境が悪いときにそこに入る必要はありません。相場が応援しているところに乗っかったほうがうまくいきます。
基本的な投資の考え方としては、将来の目標を達成するための資金作りのために投資をするわけです。そのためにいま一番追い風が吹いている投資手法はどれなのかという観点で俯瞰してみることがだいじです。
わたしはそれで株がいいときは株をやりましたし、不動産がいいときは不動産をやってきました。
編集部:なるほど。いまはどういった投資手法がいいとお考えですか?
八木さん:いまは不動産ではなく、債券がいいと思っています。いま不動産投資は融資が引きにくくなっていますから、なかなか物件を買うことが難しい状況です。そういうときに不動産投資に固執して何もせず買えない時期を過ごすのであれば、それは時間の損失になるので、手元の資金を別のことで運用したほうがいいと思います。
ただ、不動産投資が追い風ではなくても参入することはできますが、競争が激化しているので、それ相応の行動量が必要ですね。それをやる覚悟があるのなら参入してもいいと思います。どれだけ覚悟を持ってやれるかということです。
9,銀行に応援してもらうたった一つの方法
編集部:行動量というと具体的に、どういう行動を増やせばいいとお考えですか?
八木さん:おもには、物件情報を集める時間を増やすことと、銀行へのアプローチです。銀行へのプレゼンテーションの質を上げるには、知識を増やすことも必要です。
それと、自分を他の投資家と差別化できるならどういうところかなと考えることもだいじです。
たとえばわたしは、属性も普通、貯金も普通、経験も普通だったので特に特徴がありません。だから銀行の目に止めてもらえるためにどうするかを考えていました。
編集部:具体的にはどんなことをしていましたか?
八木さん:はい。わたしの場合は、人生理念をベースに、長期・中期・短期で、こういうことを実現したいということを語った上で、「いまこの中長期計画を実行しようとしている」「だからこの物件を買うのがベストなのです」ということを伝えるようにしています。
そういう人生ピラミッドを語るのです。
多くの投資家は、この物件を買うといくらキャッシュフローが出て、いくら黒字になりますということだけにとどまっていることが多いのです。
そんな中、「ビジョンの実現のためこの融資を実行してほしい」という話を聞けば、銀行の担当者の印象に残りますし、稟議書が書きやすいわけです。そういうプレゼンするほうが融資を受けやすいです。
そういうプレゼンをしているひとはたぶん少数なので、自分ならどういうふうにするかを考えることが大事です。
編集部:ビジョンというのは、さきほどおっしゃった「生まれ育った地元地域に貢献したい」ということだと思いますが、人生理念というとどんなものを持っていますか?
八木さん:はい。わたしの場合は、「常に愛を土台に生きる」「ありのままの自分で生きるために真理に忠実に生きる」「自分の可能性を追求して上質な人生にする」という3つのことを理念にしています。
この理念を具現化するビジョンとして、「地域貢献がしたい」「金融教育がしたい」「シングルマザーのためのシェアハウスを作りたい」などがあります。
そして、この3つを実現するためにどういう目標を置くのかということになります。
そしてもちろんそれは口だけではなく実際に行動していることが重要ですので、これまでの不動産投資の実績や、金融教育を行ってきている実績を伝えます。
それから、理念・ビジョン・目標・行動に一貫性がなければいけません。だから、手帳に書かれているビジョンや目標を毎日見て、「今日の行動は目標達成に効果的だったのだろうか」ということを確認して、そうなっていれば強化し、そうでなければ修正することをしています。そうするとムダなことや悪いことはしなくなります(笑)
10,マザーテレサと親交があった祖母から受け継がれた意思
編集部: 人生の早い時期に、そういうお考えを持てるというのはすごいことだなと思います。それはどこで身につけたのかが気になっているのですが、ご両親の影響ですか?
八木さん:はい。それもあると思います。父は他人にも厳しいのですが自分にも厳しくて、かなりストイックです。曲がったことはしませんし、自分が掲げた目標は確実に達成していくタイプです。
今年還暦ですが、50歳でトライアスロンをはじめたり、58歳でモンブランに登頂したんです。今年は、エベレストに登ると言っています。
そういうチャレンジするタイプの人です。もちろんそのためのトレーニングは欠かせないわけで、体脂肪率5%のカラダを作っているのです。そういう努力を見てきて、影響を受けたのかもしれません。
母はすごく愛情深いひとです。母方の祖母がカトリックで、生前のマザー・テレサと親交があったんです。マザー・テレサの下のシスターたちが日本に来たときに、宿泊先として自宅に受け入れるということもしていたようです。
祖母のそういう奉仕の活動やひとに貢献している話を聞いたり姿を見て影響を受けたというのもあるかもしれませんね。
11,不動産投資成功の確率を高めるマインドセットのつくり方
編集部:なるほど。それで自然に地元への地域貢献や、シングルマザーの支援、お金と人間関係問題の解決といった事を考えられるわけですね。
八木さん:はい。そうですね。父も母も、自分たちの行動を通じて、わたしの自己肯定感が上がるような育て方をしてくれたからだと思っています。
両親がやっていることは自分もできると捉えることができます。言葉で愛情を注いでもらったことはもちろんですが、背中で見せてれていました。それはとても自信になりましたし、感謝しています。だからこそ今から親になる若い人たちに、子どもにはそういうふうに接してほしいとも思っています。
そしてそれはわたしがそういう環境で育ったからできるということではなく、だれにでもできることだと思っています。
たとえばそのためには進んで自己肯定感を上げてくれる人の輪に入っていくほうがいいのではないかと思います。
自分のビジョンや目標を伝えて、それに対して否定的な反応をするひとではなく、肯定的に捉えてプラスの言葉で応援してくれるひとと付き合うことで自己肯定感を上げることができると思います。そういう環境に身を投じることはいまからできる重要なことだと思います。
すると行動が強化されて、不動産投資も成功の確率が上がるのではないかと思っています。
ありがとうございました。
八木エミリーさんのお話を聞いて感じたことは、とにかくしっかりと軸を持っている方だということです。不動産投資家として成功するための考え方、実践してきたことを聞かせていただくつもりではじめたインタビューでしたが、いつの間にかその枠を超えて、「人としてのあり方」にまで広がりました。
不動産投資も含め「投資」は人生の目標を達成するための手段。枝葉末節にとらわれず大きな目標を持ち本筋を行く。それを実現するために必要なものは、「高い自己肯定感」。さらに自己肯定感を上げるひとつの方法は、自分を肯定してくれる人の輪に入ること。そんなことを伝えてもらいました。
八木さんの人としての「あり方」は、「常に愛を土台に生きる」「ありのままの自分で生きるために真理に忠実に生きる」「自分の可能性を追求して上質な人生にする」という理念の上に成り立っているということです。
こういう理念のもと実践されているからこそ、それが管理会社や仲介会社はもとより、顧客である入居者に伝わる。そして97%という入居率を実現し、不動産賃貸業の成功につながっているのではないかと思います。
わたしたちの不動産投資家を成功させることだけにとどまらず、豊かな人生をつくるための参考になるのではないでしょうか。
八木エミリーさんから「お金の基本や投資のあれこれを学んでみたい」という方はこちらからお問合せしてみてはいかがでしょうか。
お金の基本、投資のあれこれをオンラインで学べるem会(エム会)
取材・執筆 『不動産投資Navi』編集部 清野秀之