〈不動産投資家実践ストーリー Vol.25 サラリーマン不動産投資家 長澤昌子さん〉後編
6.成功の秘訣は管理会社選び
編集部:サブリースではない物件で、空室が続いたというようなことはありませんでしたか?
長澤さん:東京の物件は空室が長期間続いたことはありません。退去しても翌月には次の入居者が決まります。依頼している管理会社は客付け力が強いのですぐに入居者を見つけてくれます。
私が物件を買った不動産販売会社は管理をとても重視していて、そもそも自社で客付けできないような物件は販売しない方針のようです。その会社が販売する物件は「新耐震基準」「室内洗濯機置場がある」などの基準を設けて、吟味して仕入れているようです。
また客付けできないような物件の管理は受けないようです。知人が持っている古めの物件管理を依頼しようと相談したところ、断られたことがありました。これからワンルームを買う人は、そういう業者から購入すると安心かもしれませんね。
編集部:管理会社の良し悪しを見分ける方法はありますか?
長澤さん:「すでに管理を受けているオーナーさんを紹介してください」と依頼して、そのオーナーさんから話を聞くことがいいと思います。それで紹介できない場合は自信がないということだと思います。
あとは、その会社の社員が不動産投資をやっているかどうかを見るといいと思います。担当者自身が不動産投資をやっていれば、オーナーの立場で考えることができますから、こちらの立場に近いところで考え行動することができると思います。
7.ワンルーム投資成功のポイント
編集部:他に不動産投資成功のコツはありますか?
長澤さん:信頼できる先輩不動産投資家を見つけて教えてもらうといいと思います。それと、入ってきた家賃収入は貯めておいて、繰り上げ返済して早く借り入れを返済することです。
編集部:これから不動産投資を始める方はどんな勉強をしておくとよいと思いますか?
長澤さん:不動産に関する税金と所得税のことや減価償却の知識があったほうがいいです。それと経理のことも知っておくといいです。ですから、ファイナンシャルプランナーの資格が役立つかもしれません。私は、確定申告を最初は税理士さんに依頼していましたが、やり方を教わったあとは青色申告会に入って自分で行っています。
編集部:宅建はどうでしょう?
長澤さん:私は学生のときに宅建を取りました。宅建はもちろん持っているに越したことはありませんが、将来不動産業者を開業したいという方でなければ、持っていなくても全く問題ないと思います。
編集部:他に成功の秘訣はありますか?
長澤さん:やはり「不動産が好き」ということが大事だと思います。物件チラシを見たり、実際に内見をしたり、街を見ることが好きなら自然に続けられると思います。逆に好きではないと、確定申告や物件探しや管理がだんだん面倒になってしまうことがあります。
あとは、勉強を続ける事が大事です。私は今でも休日は毎週のように不動産投資関連のセミナーに参加しています。常に新しい知識を持っておくことがだいじですね。
編集部:キャッシュフローを増やすために、一棟物を購入しようというお考えはありませんか?
長澤さん:そうですね。最近知り合った大家さん仲間には、一棟ものを勧められるのですが、私の場合はキャッシュフローを拡大するより将来の収入源となる資産を作ることが目的なので積極的に一棟ものを購入しようとは考えていません。
私の場合はサラリーマンですし、投資の規模を大きく拡大しようとは思っていないので、多額の借り入れをせず、小さく安定的にやっていくスタンスです。
賃貸併用住宅を買ったというのもそういうことですが、自分の住む場所を確保しながら、家賃収入も得られるようになります。私にとってはそういう安心感が得られることが心地いいのです。
月のキャッシュフローが50万円くらいあればサラリーマンを辞めても生活はできますので、それくらいでいいと思っています。
編集部:月50万のキャッシュフローはいつ頃達成できそうですか?
長澤さん:もう少しで達成できそうです。今回購入した物件は築7年とわりと新しい物件です。1Fは賃貸で、2F・3Fが住居なのですが、ベッドルームが3つありますので、家主居住型の民泊をやろうと思っています。駐車場もあるのでそれはまた別途収入が得られます。それらを合わせた収入を試算すると、月40万円のキャッシュフローになりそうです。
ですから、あと2戸くらい購入すれば、月50万円のキャッシュフローを得られるようになります。
8.不動産投資がもたらす精神的安定
編集部:不動産投資をやってよかったことは?
長澤さん:会社の給料以外に毎月安定した家賃収入が得られるので、経済的にゆとりがあって、精神的な安定を保てる事がいいと思います。いつでも会社を辞められる安心感があるのでそれが何よりです。
私にとっては精神的な安定を得ることが重要なので、多額の借金をして一棟物を購入することには抵抗があります。何億も借金をして、それで夜も眠れないほどの心配事ができてしまったら何の意味もないと思います。
サラリーマンが収入を増やすためにスキルアップするには、何か資格を取るために勉強をする方法があります。それはもちろんとてもいいことだと思いますが、私の場合はそういう方法ではなく、不動産の勉強をして実際に物件を買いました。それを選んで本当によかったと思っています。
9.これから始める方へアドバイス
編集部:これから不動産投資を始める方にアドバイスをお願いします。
長澤さん:マイホームが欲しい方は、先に自宅を買ったほうがいいかもしれませんね。今回賃貸併用住宅を買うために住宅ローンを申し込んだのですが、投資物件の借り入れが原因でなかなか審査が通らなかったのです。自分の属性で融資を受けられる限界を超えると融資を受けにくくなりますので気をつけたほうがいいと思います。
それと、マンションの場合、利回りは表面利回りだけを見るのではなく、管理費や修繕積立金、管理委託料などを除いた実質利回りを基準に考えてください。
また、最初は小さく始めることをおすすめします。まず500万から1000万円程度の現金で買える物件を購入し、家賃収入が得られる喜びを感じながら経験を積み、徐々に物件を増やしていくほうが安心だと思います。
家賃収入は貯めておいて、物件を売却して自己資金を増やして次に大きな物件を購入するなど選択肢が広がってくると思います。
あとは、何のために不動産投資をやるのかという目的をはっきりさせて、自分のスタンスを決める事が大事ですね。そして、成功している先輩不動産投資家に教えてもらうことが近道だと思います。
人それぞれ目的が違うので、例えば自分の目的に合わない大家の会などに参加してしまうと、モチベーションが下がることもあります。自分の目的に合ったところを探して参加しましょう。
10.空き家活用で社会貢献を目指す
編集部:今後の目標は?
長澤さん:賃貸併用住宅を購入し民泊をやりたいという目標は達成できたので、次は、競売物件の落札についても勉強してみたいと思っています。
最近空き家が増えているので、戸建ての空き家を買って再生するということもやってみたいです。空き家のオーナーさんのサポートする事業もやってみたいですね。
編集部:なぜ空き家を?
長澤さん:空き家を持っていて、更地にしてしまうと固都税が高くなるのでそのまま放置している人が多いと聞きます。その空き家を使って民泊を運営すれば、収益が発生しますし宿泊施設を増やすという意味で社会的に貢献度が高いと思っています。ぜひやってみたいと思っています。
ありがとうございました。
長澤さんは日本の歴史、特に幕末が好きで、休日は史跡めぐりなどをしているという歴女。
「夢だった」という賃貸併用住宅を手に入れ、イキイキと物件について語る姿が印象的でした。
インタビュー実施:2019年9月
不動産投資Navi編集部