不動産投資家実践ストーリー Vol.30
ママチャリ大家 小林ヒロシさん
今回の不動産投資家実践ストーリーは、「いい物件を継続的に買い続け、規模を拡大したい」という方の参考になるテーマです。
「入居率98%をキープする大家が物件を買うときに考えていること」というテーマで、ベテラン大家の小林ヒロシさんにインタビューしました。
小林ヒロシさんは2008年に不動産投資に参入し、8棟の収益物件(新築2棟、中古6棟)のビル・アパート・マンションとコインパーキング・月極駐車場を所有。入居率98%をキープし続け、家賃収入4,700万円超の実績をお持ちです。
不動産投資関連の書籍『「自主管理」で年4000万円稼ぐマンション経営術』『1日30分で年4000万円稼ぐ! スマホ1台でらくらく儲かる不動産投資法』の著者でもあります。
また、不動産投資情報サイト『楽待』の「8人の成功者による不動産投資ノウハウ完全版 8つのステップ 2014」の講師に約2万人の投資家の中から選出されています。
保有物件を自宅から5km圏内の地元に限定し、「ママチャリ」を駆使して自主管理しているため、「ママチャリ大家」と呼ばれています。
1.効率的な物件情報の集め方
編集部:小林さん、今日はよろしくおねがいします。
2019年7月に8棟目のアパートを買ったということですが、何年ぶりですか?
小林さん: 2011年から買っていませんでしたので8年ぶりです。
編集部:だいぶ間が空いたのですね。その間じっくり物件を吟味していたということですか?
小林さん:そうですね。不動産投資ブームで物件価格が上がったこともあり、いい物件が少なかったと思います。
とは言っても、ときどきいい物件が出ましたが、そういう物件は争奪戦になるのでなかなか買えませんでした。
私は基本的に融資を引いて物件を買いますが、現金で買う人や買い上がる(売主の提示価格より高く買うこと)人と競合してなかなか勝てませんでした。
最近になってちょっと物件価格の上昇が止まって、若干下がり気味になりました。そんなタイミングで、以前から付き合いがある業者からいい物件を紹介されたので買付を入れたのです。
編集部:ありがとうございます。今日は、小林さんが物件を買う時にどんなことを検討しているかをお聞かせいただこうと思っています。
まず、小林さんはどういう基準で物件をお探しですか。
小林さん:私は今まで付き合いがある不動産業者2社の営業担当者に、希望物件の条件を事細かに伝えています。
具体的には、自宅から半径5km以内の駅から徒歩10分圏内。構造は問いません。間取りは2DK以上のファミリータイプ。利回り8%以上。さら地形が良くて、接道がいい。そして土地の資産性が高い物件です。
資産性が高いというのは、土地の値段が物件価格の7割程度を占めている物件です。建物の価格ではなく、土地の価格が物件価格を占めているということが重要です。
そういう物件が出たらすぐに買うことができる資金を準備しているので情報が出たら知らせてくださいと伝えてあります。
編集部:だいたどれくらいのペースで物件情報が来ますか?
小林さん:かなり絞り込んでいるので少ないです。月に1件あるか無いかですね。
その他の業者にも依頼していますが、先ほど話した2社より条件を緩くしていますので毎日のように来ます。それから『楽待』や『健美家』には、今のような条件を登録していますので、それを見た業者が物件リクエストを送ってくる場合もあります。
編集部:希望条件から外れたものは絶対買いませんか?
小林さん:そうですね。まず買わないですね。
条件に合致しても、現地を見に行って、これは無いなと思うことが多いです。
2,まず「どんな物件を買えるか」を知る
編集部:これから物件を買う初心者も不動産業者に希望条件を細かく伝えておくべきだと思いますか。
小林さん:はい。ただ、「買える人」という前提が無いと、不動産会社としては、ただのうるさい人になってしまいますので「買える」スタンスを見せる事が重要です。
編集部:具体的にこれから物件を買おうという人が、「買える人」になるためにまずやるべきことはどんなことですか?
小林さん: そうですね、まず自分が本当に希望している物件を買えるかどうかを知らないといけません。
ですから物件を提案してくれた不動産会社に相談することです。そうすると不動産会社がヒアリングシートという、就職でいうエントリーシートのようなものを用意してくれます。そこに会社の情報や家族構成、年収、自己資金などを書いて提出すると、概ねいくら位の物件が買えるかを調べてくれます。
3.自己資金・年収はどれくらい必要か
編集部:その後どの金融機関から、どんな条件でいくら借りられるか打診してもらうという流れですか?
小林さん:はい。不動産会社が懇意にしている銀行がある場合は、そこに紹介を受けられるかもしれません。
ただそこで自己資金があまりにも少なく、年収も低いとたぶん提案が来なくなります。
だから最低限500万円以上、できれば1千万程度の自己資金は貯めてから相談したほうがいいかもしれません。
編集部:年収は概ねどれくらいあれば融資を受けられますか?
小林さん:700万円以上あれば土俵に乗ってくるのかなという気がします。
ただそれはあくまでも目安です。もちろんそれ以下でも、物件の価格によっては取り組んでもらえることがあります。都内なら1,000万〜2,000万円代のアパートや戸建てです。
ですから年収700万円・自己資金500万円に満たない方でも諦めることはありません。
4.内見から買付はスピード感が重要
編集部:話が変わりますが、見たい物件が見つかった時に、内見で特に注意深く見ているポイントはどういうところですか?
小林さん:特に基礎や壁に大きなクラックがないかどうかと、内部に入れるようでしたら共有の部分の状態を見ています。
また、周辺の状況は時間によって変わるので朝・昼・晩と3回ほど行って状況を見ることも大事です。
それから、スピード感が重要ですので、「本当にこれはいける」と思ったら、物件情報をもらった当日か翌日には結論を出して、よければ買付を入れるくらいのスピードでやります。
5.売主から嫌われない指値の作法
編集部:いい物件の場合は、指値なしで買付を入れますか?
小林さん:いいえ。一旦指値をして、売主の反応を見ます。
編集部:指値の金額はどのように決めていますか?
小林さん:不動産会社と相談して決めます。仲介業者は売主の情報を持っていますので、そのへんの加減がわかります。あれこれ考えるより不動産業者に相談するのが早いと思います。
注意点としては、こちらの都合だけで厳しい指値を入れて「この人に売りたくない」思われてしまうと本末転倒なので、ある程度合理的なところで収めるようにしています。……続きを読む